行動経済学からわかるユーザーの行動とデザインのありかた|山田歩

5,807 views
5,628 views

Published on

in World IA Day 2012 Tokyo
青山学院大学 HiRC 山田歩
2012/2/11

Published in: Design
0 Comments
28 Likes
Statistics
Notes
  • Be the first to comment

No Downloads
Views
Total views
5,807
On SlideShare
0
From Embeds
0
Number of Embeds
1,666
Actions
Shares
0
Downloads
3
Comments
0
Likes
28
Embeds 0
No embeds

No notes for slide

行動経済学からわかるユーザーの行動とデザインのありかた|山田歩

  1. 1. 行動経済学からわかるユーザーの行動とデザインのあり かた 山田歩 (青山学院大学HiRC) e-mail:ayumi.yamada@gmail.com twitter: @ayumyama wiad2012 1
  2. 2. 1.人は限定合理的に行動する• 健康・貯蓄・消費行 動などで、問題を抱 えていない人は少な い。 図 子宮がん検診の検診率(2006年)• 思慮が足らないの か? wiad2012 2
  3. 3. 熟慮は選択の質を高めるか素朴な信念 最適な決定が損なわれる• 熟慮を重ねることで、より 100% よい決定ができる。冷静に 80% 判断しよう。 60% 40% 美術 20% 動物 0% 統制群 分析群 図 ポスターの選択率 (Wilson et al, 1993) wiad2012 3
  4. 4. 選択肢は多いほど良いか素朴な信念 購買意欲が損なわれる• 多いほど良い。自分の好 70 みに合致するものと巡り 60 合う確率が高まる。 50 40 30 20 10 6種類 0 24種類 試食率 購入率 図 ジャム実験 (Iyengar&Lepper,2000) wiad2012 4
  5. 5. 2.なぜ合理的な選択ができない のか誰が選択するのか• “合理的経済人” 合理的経済人 リアルな人間 – 自分の嗜好が明確 (限定合理性) – 好みに矛盾がなく不変 – 嗜好にもとづいて、満足が 十分な注意 不十分な注意 最も大きくなるような選択 十分な時間 不十分な時間 肢を選ぶことができる 完全な情報 不完全な情報• リアルな人間 高い認識能力 不十分な認識能 – 嗜好が不明確 力 – 好みがよく変わる – 何が自分にとって最善なの 完璧な自制心 不完全な自制心 か、十分理解できていない wiad2012 5
  6. 6. 人間の二つの認知システム熟慮システ 自動システ ム ム制御されて 制御されている いない努力する 努力しない演繹的 連想的遅い 速い自覚的 無意識ルールに従 熟練を要すう る wiad2012 6
  7. 7. 3.合理的でなくても予測可能アノマリーは系統的に起こ 自動システムによる判断・決る 定• 合理的でない ≠ ハチャメ • ヒューリスティックス – 利用可能性 チャ – 代表性 – 感情• 自動システムが系統だっ • 知覚と似ている – 「状態」より「変化」に敏感 たバイアスを作り出して • 参照点依存性 いる • 感応度逓減性 – 合計より平均 • 利得より損失に敏感 • 文脈に依存 wiad2012 7
  8. 8. ヒューリスティックス• 判断や問題解決に利用さ • 利用可能性ヒューリスティッ れる簡便な方略。 ク “r” で始まる単語と、 “r” が 3番目にある単語はどちらが 多いか?• 係留と調整 国連加盟国全体のな かでアフリカにある国が • 代表性ヒューリスティックス 占める割合は 5%より高 偏りのないコインを投げ いか低いか? たら、3回連続で表が出た。 次に出るのは表と裏のどちら か? wiad2012 8
  9. 9. 失業率 物価上フレーミング効果 昇率• 同じ内容の情報でも、そ 政策A: 10% の情報の表現の枠組み 12% (フレーム)を変えるこ 政策B: 5% 17% とによって、判断が変わ る 脂身25% or 赤身75% 雇用率 物価上 昇率 政策C: 90%この肉はどのくらい美味し 12%そうですか? wiad2012 政策D: 95% 9 17%
  10. 10. 損失回避傾向コインでの賭け • 現在の状況を変えない・表が出ると【 】円もらえ – 手間がかかるる – 現状を手放すことに抵抗が生じ・裏が出ると10,000円失う る支払意思額と受取意思額・獲得するのに、いくらまで支払うか・いくら受け取れば、手放すか wiad2012 10
  11. 11. デフォルトの効果 • 初期値によって、選好さ れる選択肢が変わる臓器提供の同意 保険への加入 保険A:安いが範囲は限定 保険B:高いが限定は少ない ニュージャージー州:80%がAに加 入 ペンシルバニア州: 75%がBに加 入 wiad2012 11
  12. 12. 感情ヒューリスティック 結果(支払意志額)• (スタバ) – スタバで1,000使えるカー 800 ド 700 600 & 500• (スタバ+ 400 ○) 300 – スタバと○で合計1,000使 200 えるカード 100 0• (○) & – ○で1,000使えるカード wiad2012 12
  13. 13. 理由に基づく選択① Economist 年間購読 Web ① Economist 年間購読 Web版 $59 版 $59 16人 68人② Economist 年間購読 印刷版 $125 0人③ Economist 年間購読 印刷 ③ Economist 年間購読 印刷版+Web版 $125 版+Web版 $125 84人 32人 wiad2012 13
  14. 14. 4.選択アーキテクチャー をデザインする『Nudge』(Thaler &Sunstein ,2008)• リバタリアン・パターナリズ • 選択アーキテクト ム – よりよい生活を送れるようにす – 人々が意思決定する文脈を るため、選択アーキテクチャー 体系化して整理する を設計することを通して、人々 の行動に影響を与える。 – オプト・アウト(拒絶の選択) する自由を与える。 – 選択アーキテクチャーを設• “Nudges”する 計することを通して、健 – 予想可能な形で行動を変える働 康・富・幸福を促進する きかけを行うこと – iNcentives – Understand mappings – Defaults – Expect error – Structure complex choices wiad2012 14
  15. 15. 誰のためのデザインか? ナッジはいつ必要なのか合理的な経済人 合理的でない人 • 熟慮システムがうまく働か (限定合理性) ないとき十分な注意 不十分な注意 – 複雑で困難な選択十分な時間 不十分な時間 – 低頻度完全な情報 不完全な情報 – フィードバックがわかりにく高い認識能力 十分とはいえない い 認識能力 – 自分が望むものがわからない完璧な自制心 不完全な自制心 • 自動システムが、望ましく ない働きをするとき – 便益を先に得て、コストを後 wiad2012 で払う 15
  16. 16. 5.選択アーキテクチャーの実 例① 予防接種者を増やす ② 臓器提供者を増やす(Chapman et al, 2010) (Johnson & Goldstein, 2004) wiad2012 16
  17. 17. ③学資援助の申し込み者を増やす(Bettinger et al, 2011) ④個人年金の加入者を増やす• 手続きの簡素化 • 手続きの簡素化(Carrol et – 事前記入済み申込用紙 al, 2006) • 34%⇒42% – 25%の上昇 – 手続きの案内だけ • 変化なし • 手続きの複雑化(Iyengar et al., 2004) – 加入率の低下 wiad2012 17
  18. 18. 6.おわりに英国内閣府の行動経済学チームによる報告書(2012年)• 納税における、不正行為、 • 行動経済学チームの考え方 間違い、未徴収の国民負担 – 本人も望んでいなかったよ – 不正行為:210億ポンド うな選択や決定を行ってい – 間違い: 96億ポンド る – 未徴収: 70-80億ポンド – 行動学的知見に基づいて、 より効果的な選択アーキテ クチャーを設計する• 伝統的な考え方 – 悪意に基づいて、不正行為 • 行動経済学に基づく介入 などを働いている。 – 安価でシンプル – 伝統的な方法と対立しない wiad2012 18
  19. 19. 補足参考 関連情報収集サイト• 友野 典男『行動経済学 経 • Nudge blog 済は「感情」で動いてい – http://nudges.org/ る』 光文社新書• セイラー&サンスティー ン『実践 行動経済学』 日経BP社 wiad2012 19

×