RTI/PBSサマーセミナー資料

2,566 views
2,330 views

Published on

2013年8月におこなったセミナーの資料です。

-------------------------------------------
RTI 研究会・PBS 研究会 合同特別企画 サマーセミナー

東京 RTI 研究会、筑波大学 PBS 研究会は、「サマーセミナー」を開催します。アメリカの学校では、子どもの学力向上や社会適応促進を目的とした RTI や PBS のシステムが多くの州で導入されています。サマーセミナーでは、RTI や PBS に関するアメリカの現状、また日本での取り組みに関して、最新の話題を発表致します。RTI や PBS に関して興味のある方はもちろん、RTI や PBS を初めて知るという方も、ぜひご参加ください。

日 時:2013 年 8 月 3 日(土) 13:00~17:40 (受付開始: 12:30~)
会 場:筑波大学 人間系学系 A 棟 101 教室
対 象:大学院生、大学生、教員、施設職員、保育者、その他興味のある方
参加費:無料

プログラム:
1.開会挨拶・・・・・・・・・・13:00~13:05

2.研究発表(発表時間は 25~30 分、質疑応答 15 分~20 分、最大 45 分)

(1)野口晃菜(筑波大学大学院人間総合科学研究科)13:10~13:55 「イリノイ州 District15 における RTI と PBS の運用状況」

(2)原口英之(筑波大学大学院人間総合科学研究科)14:00~14:45「保育園における PBS の実践:研修及びコンサルテーションによる園内支援体制の構築」

(3)吉田有里(株式会社ウイングル)14:50~15:35
「小学校 2 年生における読み書き困難のリスク要因と支援方法の検討」

休憩 15:35~15:50

(4)大橋智(明星大学人文学部心理学科)15:55~16:40
「地域に根ざしたつながる支援にどのように関わるか:小・中学校連携をモデルとして」

(5)五味洋一(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園)16:45~17:30
「実質的・持続的なライフスタイルの変化をもたらす支援とは:強度行動障害を中心に」

3.閉会挨拶・・・・・・・・・・17:30~17:40
懇親会:18:30~20:30(つくば市内)

Published in: Education
0 Comments
2 Likes
Statistics
Notes
  • Be the first to comment

No Downloads
Views
Total views
2,566
On SlideShare
0
From Embeds
0
Number of Embeds
217
Actions
Shares
0
Downloads
10
Comments
0
Likes
2
Embeds 0
No embeds

No notes for slide

RTI/PBSサマーセミナー資料

  1. 1. RTI/PBSサマーセミナー資料 8/3/2013 米国イリノイ州District15における RTI・PBSの運用状況 (視察報告) 筑波大学大学院 野口 晃菜 1
  2. 2. I. 米国におけるPBSとRTI導入の背景と現状 (1)PBSとは (2)RTIとは (3)教育改革とPBS・RTI II. 米国イリノイ州District15におけるSWPBSとRTI (1) District15の概要 (2) District15におけるSWPBS/RTI (3) まとめと課題 2
  3. 3. I.米国におけるPBSとRTI導入の背景 3
  4. 4. (1)Positive Behavior Support (積極的行動支援:PBS)とは  個のQOLを高め、不適切な行動を最小限に するために、教育方法を活用し、生活環境全 般を再構築する応用科学(Carr et al. , 2002) 4
  5. 5. PBSが発展した背景 (a) 応用行動分析学 (b) ノーマライゼーション/ インクルージョンの動向 (c) 『個』を中心とした価値(Person-centered value) (Carr et al. , 2002) 5
  6. 6. PBSの中核となる概念 ① 個を中心とした包括的・長期的な計画(生活場面全体を視野に入れる) ② 対象者のみでなく支援者のQOLもあげる ③ 「問題行動」ではなく「問題が起こっている文脈」を変える ④ 「予防」に焦点を当てる ⑤ 科学的実践ではあるが、柔軟さを持つ ⑥ 組織レベルでの介入 ⑦ 正の強化・機能的アセスメント・日常生活への般化 (Carr et al., 2002; 関戸・田中, 2010) 6
  7. 7. School-wide PBSとは?(SWPBS) すべての児童生徒に対し適切な行動を学ぶた めの機会を提供し、行動問題を予防するため に学校環境を整える階層的なアプローチ (Center on Positive Behavioral Interventions and Supports, 2004; 平澤・小笠原, 2010) 7
  8. 8. (2) Response to Intervention (教育的介入に対する反応:RTI)とは  科学的根拠に基づく指導法を用い、指導に対す る児童生徒の反応を継続的にモニタリングする ことにより、質の高い教育を目指すと共に、支援 が必要な児童生徒を判定するプロセス  最適な介入と環境に対しても適切な反応が見ら れなかったら、集中的な介入・支援(Gresham, 2010) 8
  9. 9. 第3層 第2層 第1層 個別・集中的な指導 小集団指導(アットリスク) 全ての児童生徒 予防的 UDL 9
  10. 10. RTIが発展した背景  特別教育対象者 “refer-test-place”  場の選択方法の妥当性 – 通常教育自体の質、目的達成のための特別教育、 「障害」判定の方法  ディスクレパンシーモデルの課題 10
  11. 11. 第3層 第2層 第1層 個別・集中的な指導 小集団指導(アットリスク) 全ての児童生徒 予防的 UDL 11
  12. 12. (3) 教育改革とPBS・RTI  2001年 「どの子も落ちこぼさない法」 (初等中等教育改正法:No Child Left Behind Act, NCLB法)  2004年 障害のある人教育改善法 (Individuals with Disabilities Education Improvement Act, IDEIA) 12
  13. 13. スタンダード・ベース改革 NCLB法 IDEA スタンダードに基づく 通常教育カリキュラムへのアクセス 説明責任システムの構築 教育成果を測ることにより 学力向上・格差の削減 教育全般の質の向上を目指す 13
  14. 14. 全ての子どもが「学ぶ」までの説明責任 ストライプに口笛 の吹き方を教えた んだ。 彼の口笛、 聞こえないよ 僕は『教えた』って言っ たんだ。彼が「できる ようになった」とは言っ ていないよ。 14
  15. 15. IDEA2004におけるPBS関する記述 【20 U.S.C. § 1401(c)(5)(F)】 (5) 30年以上の研究と経験の結果、障害のある児童 生徒への教育は下記の場合より効果的である (F) 科学に基づくリーディングプログラム、positive behavioral interventions and supports, そして早期 介入サービスを提供することが、児童生徒の学習 面や行動面に関するニーズを「障害」とラベルづけ る必要性を軽減する。 15
  16. 16.  IEPチームは児童生徒の行動が自身の学習あるいは他者の 学習に困難さを作っている場合、PBISの活用を検討しなけ ればならない。 (20 U.S.C. §1414(d)(3)(B)(i)).  行動介入計画を持たない児童生徒が行動面の困難さ(障 害による可能性がある)の故、通常の学級から10日以上戻 れていない場合、機能的行動アセスメントを行う必要がある 。 (20 U.S.C. §1415(k)(1)(F)(i)). 16
  17. 17. IDEA 2004におけるRTIに関する記述 【20 U.S.C. §1414[b][6]】 (A) 子どもが特異的学習障害であるかの判断をするとき、 LEA(Local Education Agency)は、子どもが話す・聞く・書く・読 む・理解する・計算する・推論する力における達成度と知的能力 の間に顕著な差があるかどうかを考慮することを必要としない (=ディスクレパンシーモデルの使用はマストではない) 17
  18. 18. (B)子どもが特異的学習障害であるかを判断するとき 自治体教育局LEA(Local Education Agency)は評 価手順の一部として、科学的、リサーチベースドの 介入に子どもが応答するかどうかで決定するプロ セスを使用しても良い (=RTIを使用しても良い) 18
  19. 19. RTIとSWPBSの共通点        そもそもの教育の質を高めるもの ホールスクールアプローチ 最大限通常学級・通常教育カリキュラムへのアクセス 対象を全員にした予防的介入 「障害」と判定する前の多層型介入モデル エビデンスやデータに基づく決定 介入後のモニタリング 19
  20. 20. II.米国イリノイ州DISTRICT15における SWPBSとRTI 20
  21. 21. イリノイ州 District15視察  2011年9月~11月 21
  22. 22. 22
  23. 23. イリノイ州内で、 3番目に規模の 大きな 初等学校区 マイノリティ 46.4% NCLB法賞 9校 オーナーロール賞 6校 在籍児童生徒数 約12,000人 小学校15校、中学4 校、オルタナティブ 学校1校 (行動面・幼児期) 全20校 特殊教育対象 1611人 マイノリティが半 数以上いるにも関 わらずNCLB法下に RTIとPBS の導入 おける教育改革に 高い評価 23
  24. 24. RTIの「行動面」のシステムとしてPBSが導入されている http://www.pbisillinois.org/getting-started/what-is-pbis 24
  25. 25. District15の特別教育プログラム 第3層 場 プ ロ グ ラ ム 通常学級+特別教育 リソース スピーチ 視覚 ルーム 言語 聴覚 インク ルー ジョン 特別学級 LD BD SI ED P CC AI MILE ME 代替学校 ※行動面 ACES 重複 25
  26. 26. RTI・PBS導入に関わる人的資源 D15 教育委員会(LEA) RTI/PBIS コーディネーター (Kathy Pluymert, スクールサイコロジスト) 学校でRTI/PBS の導入をファシ リテート SP 学校 チーム SP 学校 RTI チーム SP SP 校長 SP 副校長 リーディング スペシャリスト ESL担当 1層⇒2層 学年 担任 SP 学校 SST チーム SP SP 副校長 SP リソース ルーム リーディング スペシャリスト スピーチ 2層⇒3層 SSW 26
  27. 27. District15におけるRTIの導入  IDEAの改定後 LD判定のために義務付けられる  2007年:学校区で計画、既にある資源を整理  2008年:導入 27
  28. 28. District15におけるSWPBSの導入  2006年度:4学校(20学校のうち)  2010年度:14学校+幼児教育  2012年度:全ての学校で導入を計画 PBISネットワーク⇒Districtを支援⇒学校を支援 (初年度2002年 イリノイ州内で400学校に導入) 28
  29. 29. 29
  30. 30. RTI/SWPBSプロセス 学習面:達成度測定において下位 25%(スタンダード・ベーステスト) 行動面:不適切な行動の頻度のデータ が上位25% 介入に対して反応がない時 別の介入方法の実施・モニタリング (8~12週間) 問題解決MTG #1 課題分析・介入のつけたし (8~12週間) RTIミーティングにおいて介入選択 介入・モニタリング (8~12週間) 問題解決MTG #2 課題分析・介入のつけたし (8~12週間) 問題解決MTG #3 特別教育の対象の可能性30
  31. 31. SWPBS 第1層 介入 3つの柱「尊敬し合う、責任を持つ、安全にする」 (Be Respectful, Be Responsible, Be Safe) (第1層) 学校の各場所に、その場所にお ける3つの柱に基づいた適切な 行動・不適切な行動を明記 (例:カフェテリアにおける適 切な行動・不適切な行動) 年度はじめに職員全員で決める。 (一貫した対応) 31
  32. 32. 適切な行動をした場合 6週間に一回のご褒美活動に参加できる (パーティー、映画鑑賞、外遊びな ど) 不適切な行動をした場合 近くにいる教員・職員が、記入用紙に 「いつ、どこで、何をしたか」を記入 →教頭(エクセルに打ち込む)、担任、 保護者 3枚溜まるとご褒美活動に参加できない 32
  33. 33. 33
  34. 34. 34
  35. 35. PBS 第2層 介入 35
  36. 36. RTI/SWPBSプロセス 学習面:達成度測定において下位 25%(スタンダード・ベーステスト) 行動面:不適切な行動の頻度のデータ が上位25% 介入に対して反応がない時 別の介入方法の実施・モニタリング (8~12週間) 問題解決MTG #1 課題分析・介入のつけたし (8~12週間) RTIミーティングにおいて介入選択 介入・モニタリング (8~12週間) 問題解決MTG #2 課題分析・介入のつけたし (8~12週間) 問題解決MTG #3 特別教育の対象の可能性36
  37. 37. RTI 第1層 介入 Differentiated Instruction 37
  38. 38. 38
  39. 39. 39
  40. 40. 40
  41. 41. イリノイ州・CCSD15における標準テスト 州で義務(3-8年生対象) イリノイ州標準テスト ( Illinois Standards Achievement Test) イリノイ州の教育水準に基づく学力試験 読み・数学・理科 年に1回 1%の最重度の知的障害のある 児童生徒については、代替アセスメント 英語能力査定 英語が第二言語である児童生徒対象 州・連邦に試験の結果を報告 CCSD15独自のテスト・測定 CBM (curriculum-based measurement) 幼稚園~2年生 学習発達測定試験 (Measures of Academic Progress) 2-8年生対象。読み・言語・数学 年に3回 知能テスト (Cognitive Abilities Test) 言語・非言語・数量の3分野 2年生、4年生、6年生 一人ひとりのニーズ・特性の把握、 RTIの指標として使用 41
  42. 42. RTIミーティング 児童氏名 リーディ ング 算数 介入プロ グラム モニター 担当者 A 点数 点数 DI 読みについて月 2回 B先生 B RTI MTG メンバー:副校長、担任、スクールサイコロジスト、管 理職、リーディングスペシャリスト、ESL教師 ※特別教育教師は対象外 ※テストの結果だけではなく、普段の様子(学習面、生活面、行動面、家庭の 様子)も含める テストデータを 3層に分ける 層ごとやニーズ ごとにグルーピ ング IPFの作成 42
  43. 43. Teacher Name________________ School Year ____________ Instructional Strategies Materials From Trophies Arrangement Time Assessment Procedures Skill Teaching Strategy Phonemic Awareness Teacher-Led Instruction Heggerty Program 22:1 15 min daily Student responses in group Decoding/Encoding (Working with Words) Teacher-Led Instruction Independent Word Walls Word Cards 22:1 Independent 15 mins. daily Leveled Benchmarking Spelling Test Vocabulary, Fluency (Teacher Read-Aloud Silent Reading) Teacher-Led Independent Teacher Selected Stories/Books on Theme Leveled Books Isabel Beck Program 22:1 Independent 20 mins. daily Leveled Benchmarking Class Discussion Comprehension (Guided Reading) Teacher-Led Instruction Independent Big Books Trade Books 22:1 Independent 20 mins. daily Leveled Benchmarking Class Discussion Holistic Assessment Fluency & Comprehension (Guided Reading Groups) Teacher-Led Instruction Leveled Books 3-6:1 20 mins. 3x wk Leveled Benchmarking Class Discussion 10/03 Adapted from the U of Oregon 43
  44. 44. 44
  45. 45. RTI(教科面) 介入プログラム種類 エビデンス・ベースな介入プログラム Read180 System 44 Read Naturally Rosetta Stone Direct Instruction In Step など リーディングスペシャリストのプルアウト授 業も受けることができる(Reading First政策) リーディングプログラム:SOAR, SAIL 45
  46. 46. RTI/PBS スペシャリスト ■ 良い点 ①担任教師が、子どもができないのを子どものせいにする のではなく、自分の指導を工夫するようになる。 ②「公正」なプロセス。”wait to fail”ではない。 ■ 課題 ①テストの時間が長い。 ②達成度が高い(学力が高い)学校区とそうでない学校区 で「対象」の差がでる。 ③教員によってはDifferentiated Instructionできない人も。 46
  47. 47. まとめと課題  教育の質を高めるもの  行動面と学習面の両輪  支援のはやさ  データに基づく支援  判定に時間がかかりすぎる  通常学級教員の理解や負担 47
  48. 48. 説明責任システム アセスメント モニタリング (データ・行動観察) 指導の実施 48
  49. 49. <引用・参考文献> Carr, E.G., Dunlap, G., Horner, R.H., Koegel, R.L., Turnbull, A.P., Sailor, W., Anderson, J.L., Albin, R.W., Koegel, L.K., & Fox., L. (2002) Positive Behavior Support: Evolution of an applied science. Journal of Positive Behavior Interventions, 4(1) 4-16,20. 平澤紀子・小笠原恵(2010) 生活の向上を目指した積極的行動支援の進展と課題. 特殊教育学 研究, 48(2), 157-166. 野口晃菜・米田宏樹(2012) 米国における通常教育カリキュラムの適用を前提とした障害児教育 の展開. 特殊教育学研究, 50(4), 413-422. 関戸英紀・田中基(2010) 通常学級に在籍する問題行動を示す児童に対するPBS(積極的行動 支援)に基づいた支援ークラスワイドな支援から個別支援へー. 特殊教育学研究、48(2)135146. U.S. Department of Education(2001)No Child Left Behind Act of 2001, P.L.107-110. 2002年1月 8日. http://www.ed.gov/policy/elsec/leg/esea 02/. 2012年4月1日閲覧. U.S. Department of Education (2004) Individuals with Disabilities Education Improvement Act of 2004, http://idea.ed.gov/explore/view/p/%2Croot%2Cregs%2C 米田宏樹・野口晃菜・本間貴子(2011) 米国の水準にもとづく教育における特別教育の実際ーイ リノイ州PalatineCCSD15の訪問調査から. SNEジャーナル, 17(1), 52-70. 49

×