SlideShare a Scribd company logo
1 of 72
Download to read offline
による装飾表現
佐藤 淳俊 (鉄緑会)
1. 自己紹介
TeXユーザーの集い2015 2
佐藤 淳俊 (さとう あつとし)
!  鉄緑会物理科 高2/高3担当 3年目
◦  教材作成のために TeX を学ぶ。
◦  とはいえまだ3年目であり,普段は鉄緑会独自の
パッケージで TeX を使っているので,TeX に関
する一般的な知識はほぼ空っぽ。
!  東京大学医学部医学科 3年
◦  レポート作成で TeX を使用することもしばしば。
TeXユーザーの集い2015 3
本講演の目的
!  tcolorbox パッケージを広く普及させ
ること。
TeXユーザーの集い2015 4
なぜ tcolorbox か
!  高校生向けの教材を作成するにあたっ
て,複数種類の枠で囲む環境が必要
だった。
!  ページまたぎもできると尚良い。
!  生徒の書き込み用スペースを作成する
ためのレイアウトを実現するのに苦労
していた。
TeXユーザーの集い2015 5
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 6
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 7
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
!  左側に装飾付きの線を
引きたい
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 8
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
!  左側に装飾付きの線を
引きたい
!  広い書き込みスペース
を作るときに,自動的
にページ下端までの高
さに調整したい。
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 9
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
!  左側に装飾付きの線を
引きたい
!  広い書き込みスペース
を作るときに,自動的
にページ下端までの高
さに調整したい。
!  任意のスペースを残し
て,ページ下端まで高
さを調整したい。
2. tcolorbox の基本
TeXユーザーの集い2015 10
インストール
!  TeX Live には標準でインストールさ
れている。
!  内部的に TikZ を呼び出して利用する。
TeXユーザーの集い2015 11
使用準備
!  pLaTeX + dvipdfmx で利用する場合
の典型的プリアンブル
TeXユーザーの集い2015 12
!  ドキュメントクラスオプションに
dvipdfmx を付けておくと,dvipdfmx
用設定で graphicx, xcolor, tikz パッ
ケージがロードされる。
tcolorbox の作成
!  options で様々な変更が可能。
!  minipage を利用して作成されており,
width はデフォルトでは linewidth に
なる。
TeXユーザーの集い2015 13
基本的な tcolorbox の作成
begin{tcolorbox}[⟨options⟩]
⟨environment content⟩
end{tcolorbox}
基本サンプル1
TeXユーザーの集い2015 14
options でできること色々
!  box のサイズ変
更
!  枠のデザイン
!  透過性の設定
!  ページまたぎ
!  表作成(tabular)
!  画像の貼り込み
!  box のネストの
調整
!  前後余白の調整
!  インラインでの利
用(tcbox)
!  タイトルの独立,
場所変更
!  高さ揃え(後述)
!  上下分割の調整
!  影付き box
など,あげたらきりがない
TeXユーザーの集い2015 15
box のサイズ指定
TeXユーザーの集い2015 16
begin{tcolorbox}[height=3cm,
width=5cm,title=My box]
box contents
end{tcolorbox}
My box
box contents
枠のデザイン,色変更
TeXユーザーの集い2015 17
インラインでの利用(tcbox)
TeXユーザーの集い2015 18
Testdotfill
tcbox[tcbox raise base]{tcbox1}dotfill
tcbox{tcbox2}
Test . . . . . . . . . . tcbox1 . . . . . . . . . .
tcbox2
表作成(tabular との組み合わせ)
TeXユーザーの集い2015 19
tcbox[left=0mm,right=0mm,top=0mm,bottom=0mm,
boxsep=0mm,title=My table]{%
begin{tabular}{r|c|l}
One & Two & Three hline
Four & Five & Six
end{tabular}}
My table
One Two Three
Four Five Six
画像の貼り付け(includegraphics との組み合わせ)
TeXユーザーの集い2015 20
画像の貼り込み1
TeXユーザーの集い2015 21
begin{tcolorbox}[enhanced,title=My
title,title style image=blueshade.png]
upper part tcblower
lower part
end{tcolorbox}
My title
upper part
lower part
TeXユーザーの集い2015 22
begin{tcolorbox}[enhanced,title=My
title,interior style
tile={width=2cm}{paper.png}]
upper part tcblower
lower part
end{tcolorbox}
My title
upper part
lower part
画像の貼り込み2
上下パート分割,影付きの box
TeXユーザーの集い2015 23
begin{tcolorbox}[enhanced,
colframe=salmon,colback=salmon!20!white,
coltitle=black,sharp corners,
drop fuzzy shadow,title=My box]
upper part
tcblower
lower part
end{tcolorbox}
My box
upper part
lower part
タイトルの独立・位置調整
TeXユーザーの集い2015 24
begin{tcolorbox}[enhanced,title=My title,
attach boxed title to top center]
This is a textbf{tcolorbox}.
end{tcolorbox}
My title
This is a tcolorbox.
3. tcolorbox の創作
TeXユーザーの集い2015 25
newtcolorbox, newtcbox
!  newenvironment / newcommand
と同様の振る舞い。
TeXユーザーの集い2015 26
tcolorbox の定義
newtcolorbox[⟨init options⟩]
{⟨name⟩}[⟨number⟩][⟨default⟩]{⟨options⟩}
tcbox の定義
newtcbox[⟨init options⟩]
{⟨name⟩}[⟨number⟩][⟨default⟩]{⟨options⟩}
DeclareTColorBox
!  DeclareDocumentEnvironment と
同様の振る舞い。xparse library を読
み込む必要あり(プリアンブルに
tcbuselibrary{xparse} )。
!  引数を増やせる,*の有無による挙動
変化を設定できる。
TeXユーザーの集い2015 27
DeclareTColorBox による定義
DeclareTColorBox[⟨init options⟩]
{⟨name⟩}{⟨supecification⟩}{⟨options⟩}
skin の変更 ― enhanced
!  skin は枠の見た目を決める土台。
!  standard, enhanced, empty など。
!  enhanced skin を用いると,描画に
tikz コマンドを利用できる。
!  枠の見た目を劇的に変化させることが
可能(shadow も enhanced skin を
利用)。
!  完全にイチから box を作成する際は,
empty skin で全てを空っぽにする。
TeXユーザーの集い2015 28
options の活用 ― underlay
!  TikZ コマンドを用いて,box に自由
に描画を上書きできる。
!  各種枠(タイトル部,テキスト背景部
など)の座標を取得することが可能な
ので,box の枠などを自由に創作で
きる。
TeXユーザーの集い2015 29
創作box例1
!  シンプルな枠囲み
TeXユーザーの集い2015 30
創作box例2
!  manual にある box-改
TeXユーザーの集い2015 31
創作box例3
!  これも manual にある box-改
TeXユーザーの集い2015 32
創作box例4
!  enhanced skin を利用して作成。
TeXユーザーの集い2015 33
創作box例5
TeXユーザーの集い2015 34
創作box例6
!  模様の繰り返し回数を指定可能
TeXユーザーの集い2015 35
創作box例7
!  四隅の正方形の一辺の長さを指定可
TeXユーザーの集い2015 36
創作box例8
TeXユーザーの集い2015 37
英語教材における利用例1
TeXユーザーの集い2015 38
英語教材における利用例2
TeXユーザーの集い2015 39
物理教材における
利用例1
TeXユーザーの集い2015 40
15
Priority:5
▶ 位置エネルギー
物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を
と定義する。
この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー
・
の
・
変
・
化
と保存力の間には以下の関係がある。
保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。
∆U = −W保
Priority:3
▶ 重力の位置エネルギー
上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる
∆U = − Fx dx
といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。
【重力の位置エネルギー】
右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0
から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力
は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める
と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方
向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働
いているとみなす)。
従って,この移動の際に重力がした仕事は,
Wg =
x
x0
(−mg) dx = −mg(x − x0)
と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで,
∆Ug = −
x
x0
(−mg) dx = mg(x − x0)
となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば,
Ug = mgx
が得られる。
Column
実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず
れかであることが知られて
・
い
・
た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化
学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。
しかし,アインシュタインが発見した E = mc2
という式によって,静止していて,かつ位置エネル
ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
物理教材における
利用例2
TeXユーザーの集い2015 41
22 2
断熱圧縮なので,温度は上昇,∆U > 0 となるは
ずです。
⑶ 続いて θ = 180◦
で加熱するわけですが,この加
熱の間,ピストンに働く力は常につり合うので,定
圧変化をすることが分かります。定圧変化に関して
は,必ず以下の点を押さえておきましょう。
【定圧変化の特性】
定圧変化においては,
Qin
: ∆U : Wout
= Cp : Cv : R
が成り立つ。特に,単原子分子理想気体の
場合は
Qin
: ∆U : Wout
= 5 : 3 : 2
となる。
今回であれば,
Wout
= 3
2
p0 · (H3 − H2)
が直ぐに求まるので,
Qin
=
Cp
R
Wout
=
3(Cv + R)
2R
p0 · (H3 − H2)
∆U =
Cv
R
Wout
=
3Cv
2R
p0 · (H3 − H2)
としてスムーズに計算することが出来ます。熱力学
第一法則から求めるより圧倒的に早いので,この方
法は使えるようにしておくべきです。ということで,
    を埋めてから     を埋めることにな
りますね。
ここまでの p − V グラフは以下の通りです。
⑷ 再び断熱変化です。断熱変化に関しては,∆U +
Wout
= 0 が成り立つことを思い出したいところ
です。p − V グラフの面積から Wout
を求めるの
は困難なので,∆U から間接的に求めることが圧
倒的に多いです。今回も,状態方程式を使って温
度を求めてから ∆U を計算することになりますね。
    は猿でも出来ますから,必ず解きましょう。
飛ばしてしまうのはあまりにも勿体無いです。
この変化が断熱膨張であることを踏まえると,
p − V グラフは以下の通りです。
⑸ 最後は再び定圧変化です。やはり
Wout
= 1
2
p0 · (H1 − H4)
が直ぐに求まるので,これを元に考えましょう。
Qin
=
Cv + R
R
Wout
なので,−Qin
を計算しましょう。
これでサイクル1周が終わりました。サイクル全
体の p − V グラフは以下の通りです。
物理教材における
利用例3
TeXユーザーの集い2015 42
22 6
となること」の2つです。ベクトルの図で整理する
と下図の通りです。
これより,求める台の移動は −x 方向に
lM = m
m + M
2l + h
tan θ
であることが分かりますね。
Ⅰ 回路を組み立てる問題です。何となく似た回路を
思い浮かべられないと厳しい内容かもしれません。
問題となるのは恐らく可変抵抗の扱いですが,メー
トルブリッジの問題を解いたことがあるとイメージ
しやすかったかもしれません。
参 考
メートルブリッジとは,未知の抵抗の抵
抗値を測定する以下のような回路です。
検流計が繋がれた導線をメートル部分に
接続する部分を徐々にずらし,検流計に電
流が流れない点を見つけます。このときの
メートルブリッジにおいて,l1, l2 を上の
図のように定めると,ブリッジ回路の公式
より
R0 : RX = l1 : l2
が成り立つので,RX を求めることが出来
ます。
初見であれば問題自体は解けなくても良いですが,
何となくで良いので答えの形を頭に入れておきたい
ですね。
Ⅱ 念のためダイオードの順方向の確認。ダイオード
の素子の電圧と電流の順方向は以下の図の通りです。
この V と I の関係が図で与えられています(た
だし,I の単位が [mA] であることに注意)。特性
曲線からも分かる通り,ダイオードは順方向のみに
電流を流します。
物理教材における
利用例4
TeXユーザーの集い2015 43
20 6
く解けます。これは運動方程式を立てる際に ay を
用いているからであり,ay を用いれば
1
2
ayt1
2
= h
と立式できます。斜面上での動きを考えるのであれ
ば,斜面上で(慣性力を含めて)運動方程式を立て,
斜面方向の加速度を求めてから等加速度運動の公式
を利用しましょう。
⑺ 台の運動方程式から台の加速度を求め,t1 を使っ
て V1 を求めます。この際,運動方程式から求まる
b が “加速度” であり,符号付きであることに注意し
ましょう。求めるのは台の速さなので,
V1 = |bt1|
を計算することになります。
⑻ 運動量保存則とエネルギー保存則を連立させる非
常にオーソドクスな内容です。方針はすぐに立てら
れないとマズいですね。また,「運動量保存則とエ
ネルギー保存則を連立させる」という計算は非常に
よく出るので,大体の計算の流れは頭に入れておく
と良いでしょう。
相対運動と重心系から考えるとやはり計
算は楽になります。エネルギー保存則は,相
対速度の大きさ vr を用いて
1
2
µvr
2
= mgh
となるので,
vr =
2mgh
µ
=
2(m + M)gh
M
が直ぐに求まります。
重心系(今回は静止系)から見ると,2物
体の速度の大きさは速度の逆比になるので,
v2 = M
m + M
vr
=
2Mgh
m + M
V2 = m
m + M
vr
=
2m2
gh
M(m + M)
として答えが求まります。
⑼
1
2
MV2
2
− 1
2
MV1
2
を計算すれば良いことは直
ぐに分かると思いますが,計算量がひどいですね…。
ここで先に⑽,⑾の問題を見て先に解いてしまって,
最後に時間と相談しながら⑼を計算するのが良いで
しょう。
この問題,重心系から考えるととっても
大変です。重心速度も変化するので危ない
匂いはするのですが,考えなければいけな
い「静止系から見た台の運動エネルギーの
変化」は重心速度とも相対速度とも結びつ
けにくいからです。どうしても重心で考え
たい,という場合であれば無理ではないで
すが,非常に難しい考え方になるので実戦
的ではないでしょう。興味がある人のため,
問題の形式で以下に掲載しておきます。
参考問題
⑴ A が Q を通過する直前の重心速度 vG
を求めよ。
⑵ A が Q を通過した直後の重心速度 vG
′
を求めよ。
⑶ A が Q を通過する直前と直後の A と
台について,重心から見た速度を始点を
そろえてそれぞれ書け。
⑷ A が通過する直前の相対速度の大きさ
vr および通過する直後の相対速度の大き
さ vr
′
を用いて,⑶のそれぞれの速度ベ
クトルの大きさを表せ。
⑸ vr と vr
′
の間に成り立つ関係式を,vG
を用いて表せ。
⑹ vr を vG
を用いて表せ。
⑺ 求める台の運動エネルギーの変化 ∆K
を,vr, vr
′
を用いて表せ。
⑻ 以上の結果を用いて,∆K を vG
を用
いて表せ。
【解答】
⑴ 系は水平方向に外力を受けないので,重心速度が
y 軸に平行であることに注意して,
vG
= m
m + M
vy
⑵ A,台の鉛直方向の速度が共に 0 なので,
vG
′
= 0
東大物理問題集
における利用例1
TeXユーザーの集い2015 44
2013 1
1
解答例
Ⅰ⑴ 小球1に関する力学的エネルギー保存則より,求める速さを v1 として,
1
2
ks2
= 1
2
mv1
2
+ 1
2
kd2
v1 = k
m
(s2
− d2
)
⑵ 等質量の2物体が弾性衝突するとき2物体の速度が交換されるので,衝突直後の2物体の速さは,
小球1 : 0, 小球2 : v1 = k
m
(s2
− d2
)
⑶ 小球1,小球2それぞれの側のばねの縮みの最大値を A1, A2 とすると,力学的エネルギー保存則より,
小球1 : 1
2
kd2
= 1
2
kA1
2
, 小球2 : 1
2
mv1
2
= 1
2
kA2
2
よって,
A1 = d, A2 =
B
s2
− d2
⑷ s =
B
2 d のとき,A1 = A2 = d となる。
衝突後の小球1,小球2の運動はともに振幅 d,周期 T =
2π m
k
の単振動であり,小球1は端点から,小球2は振動
中心から動き始めるので,それぞれの位置は図のような時間
変化をする。ただし,x 軸は小球1側のばねの自然長の位置を
原点とし,右向きが正である。
これより,2つの小球が再び衝突するまでの時間は,
3
4
T = 3π
2
m
k
Ⅱ⑴ ばねが s だけ縮んでいるときの小球1のつり合いを考えて,小球1が動き始める条件は,
ks > µmg s >
µmg
k
⑵ 小球1が右向きに動いているときの運動方程式は,
m d2
x
dt2 = −kx − µ′
mg d2
x
dt2 = − k
m
x +
µ′
mg
k
よって,小球1は,x = −
µ′
mg
k
を振動中心とする単振動をする。x = −s が振動の左端なので,右端の座
標 x1 は,
x1 − s
2
= −
µ′
mg
k
x1 = s −
2µ′
mg
k
小球1が小球2に衝突する条件は,x1 >= d より,
s >= d +
2µ′
mg
k
よって求める s の最小値は,
s = d +
2µ′
mg
k
配点
Ⅰ⑴ 3 点(☆)
⑵ 4 点(☆)
⑶ 3 点(☆)
⑷ 3 点(☆☆)
Ⅱ⑴ 3 点(☆)
⑵ 4 点(☆☆)
採点基準
Ⅰ⑴ エネルギー保存則を立式して····························1 点
衝突直前の小球1の速さを求めて····················2 点
⑵ 衝突後の小球の速さを求めて·······················各 2 点
⑶ 左側のバネの最大の縮みを求めて····················1 点
右側のバネの最大の縮みを求めて····················2 点
⑷ 求める時間が周期の
3
4
だと述べて·················1 点
衝突までの時間を求めて····································2 点
Ⅱ⑴ s の条件を求めて·················································3 点
東大物理問題集
における利用例2
TeXユーザーの集い2015 45
2013 1
指針
Ⅰは,単振動と衝突を組み合わせた2体問題です。エ
ネルギー保存則や速度交換の知識があれば,⑶までは迷
うことなく解き進められるはずです。一方で,⑷に関し
ては単振動を踏まえた時間の考察を行うことになります。
「単振動の中途半端な時間を考えるときは,円運動を復
元して考える」という定石を踏まえて,グラフを描きな
がら整理して考えれば答えに至るのは難しくはないで
しょう。
一方でⅡの内容は,Ⅰとは完全に独立したものとなっ
ています。解けない設問があっても,全ての問題に目を
通す,という習慣を付けられていれば,Ⅰが解けていな
くてもⅡで得点できるはずです。⑴の内容は基本問題で
すが,⑵は少々難しいでしょうか。単振動の運動方程式
から振動の範囲を考える方法,エネルギー保存則を使う
方法がありますが,どちらも自然な発想から至ることの
できる解法といえるでしょう。
解説
以下では,小球1側のばねの自然長の位置を原点とす
る x 軸を右向きに取るものとする。
Ⅰ⑴ 小球1に関する力学的エネルギー保存則より,求
値を v1 として,
1
2
ks2
= 1
2
mv1
2
+ 1
2
kd2
が成り立つので,これを解いて
v1 = k
m
(s2
− d2
)
を得る。
注
小球1が x = 0 を振動中心,x = s を右端とする
単振動を行うことから,小球1,2が衝突するため
に必要な条件は s > d である。
これは,⑴で求まる v1 が正の実数として存在す
る条件と一致する。
⑵ 等質量の2物体が弾性衝突するとき,衝突前後で2
物体の速度が交換される(速度交換)ので,衝突直後
の2物体の速さは,
小球1 : 0
小球2 : v1 = k
m
(s2
− d2
)
⎫
⎪⎬
⎪⎭
として得られる。
別解
衝突直後の小球1,2の速度をそれぞれ v′
1, v′
2 と
おくと,運動量保存則より,
mv1 = mv′
1 + mv′
2
が成り立つ。はね返り係数の定義式
v1
v′
2 − v′
1
= 1
と連立して,
v′
1 = 0
v′
2 = k
m
(s2
− d2
)
⎫
⎪⎬
⎪⎭
を得る。
別解
系の重心速度は vG
= 1
2
v1 であるから,重心系に
おける衝突前の小球1,2の速度はそれぞれ
v1G = 1
2
v1, v2G = − 1
2
v1
である。衝突により,各小球の速度は −1 倍されるの
で,衝突後の重心系における衝突前の小球1,2の速
度はそれぞれ
v′
1G = − 1
2
v1, v′
2G = 1
2
v1
である。よって,静止系から見た衝突後の各小球の速
度は,
v′
1 = vG
+ v′
1G = 0
v′
2 = vG
+ v′
2G = v1 = k
m
(s2
− d2
)
⎫
⎪⎬
⎪⎭
として求まる。
参考
一般に,質量がともに m の2物体が一次元的に
完全弾性衝突することを考える。衝突直前および
直後の2物体の速度を v1, v2 および v′
1, v′
2 とする
と,運動量保存則,およびはね返り係数の定義式
より,
mv1 + mv2 = mv′
1 + mv′
2
v′
2 − v′
1
v1 − v2
= 1
が成り立つ。よって,
v′
1 = v2, v′
2 = v1
であることが分かる。
これより,等質量の2物体の一次元的な弾性衝突
では,衝突前後で速度が交換されることが示された。
ポイント
別解で示したように,一般に2物体の衝突後の速
度は,運動量保存則とはね返り係数の定義式を連立
することで求まる。完全弾性衝突の際には,はね返
り係数の定義式の代わりにエネルギー保存則を用
いることもできるが,速度についての2次方程式と
なってしまうため,はね返り係数の定義式を用いる
方が賢明である。
⑶ 小球1,小球2それぞれの側のばねの縮みの最大値
を A1, A2 とすると,力学的エネルギー保存則より,
東大物理問題集
における利用例2
TeXユーザーの集い2015 46
2013 1
指針
Ⅰは,単振動と衝突を組み合わせた2体問題です。エ
ネルギー保存則や速度交換の知識があれば,⑶までは迷
うことなく解き進められるはずです。一方で,⑷に関し
ては単振動を踏まえた時間の考察を行うことになります。
「単振動の中途半端な時間を考えるときは,円運動を復
元して考える」という定石を踏まえて,グラフを描きな
がら整理して考えれば答えに至るのは難しくはないで
しょう。
一方でⅡの内容は,Ⅰとは完全に独立したものとなっ
ています。解けない設問があっても,全ての問題に目を
通す,という習慣を付けられていれば,Ⅰが解けていな
くてもⅡで得点できるはずです。⑴の内容は基本問題で
すが,⑵は少々難しいでしょうか。単振動の運動方程式
から振動の範囲を考える方法,エネルギー保存則を使う
方法がありますが,どちらも自然な発想から至ることの
できる解法といえるでしょう。
解説
以下では,小球1側のばねの自然長の位置を原点とす
る x 軸を右向きに取るものとする。
Ⅰ⑴ 小球1に関する力学的エネルギー保存則より,求
値を v1 として,
1
2
ks2
= 1
2
mv1
2
+ 1
2
kd2
が成り立つので,これを解いて
v1 = k
m
(s2
− d2
)
を得る。
注
小球1が x = 0 を振動中心,x = s を右端とする
単振動を行うことから,小球1,2が衝突するため
に必要な条件は s > d である。
これは,⑴で求まる v1 が正の実数として存在す
る条件と一致する。
注
小球1が x = 0
単振動を行うこと
に必要な条件は s
⑵ 等質量の2物体が弾性衝突するとき,衝突前後で2
物体の速度が交換される(速度交換)ので,衝突直後
の2物体の速さは,
小球1 : 0
小球2 : v1 = k
m
(s2
− d2
)
⎫
⎪⎬
⎪⎭
として得られる。
別解
衝突直後の小球1,2の速度をそれぞれ v′
1, v′
2 と
おくと,運動量保存則より,
mv1 = mv′
1 + mv′
2
が成り立つ。はね返り係数の定義式
v1
v′
2 − v′
1
= 1
と連立して,
v′
1 = 0
v′
2 = k
m
(s2
− d2
)
⎫
⎪⎬
⎪⎭
を得る。
別解
系の重心速度は vG
= 1
2
v1 であるから,重心系に
おける衝突前の小球1,2の速度はそれぞれ
v1G = 1
2
v1, v2G = − 1
2
v1
である。衝突により,各小球の速度は −1 倍されるの
で,衝突後の重心系における衝突前の小球1,2の速
度はそれぞれ
v′
1G = − 1
2
v1, v′
2G = 1
2
v1
である。よって,静止系から見た衝突後の各小球の速
度は,
v′
1 = vG
+ v′
1G = 0
v′
2 = vG
+ v′
2G = v1 = k
m
(s2
− d2
)
⎫
⎪⎬
⎪⎭
として求まる。
参考
一般に,質量がともに m の2物体が一次元的に
完全弾性衝突することを考える。衝突直前および
直後の2物体の速度を v1, v2 および v′
1, v′
2 とする
と,運動量保存則,およびはね返り係数の定義式
より,
mv1 + mv2 = mv′
1 + mv′
2
v′
2 − v′
1
v1 − v2
= 1
が成り立つ。よって,
v′
1 = v2, v′
2 = v1
であることが分かる。
これより,等質量の2物体の一次元的な弾性衝突
では,衝突前後で速度が交換されることが示された。
参考
一般に,
完全弾性衝
直後の2物
ポイント
別解で示したように,一般に2物体の衝突後の速
度は,運動量保存則とはね返り係数の定義式を連立
することで求まる。完全弾性衝突の際には,はね返
り係数の定義式の代わりにエネルギー保存則を用
いることもできるが,速度についての2次方程式と
なってしまうため,はね返り係数の定義式を用いる
方が賢明である。
ポイ
別解で示
度は,運動
⑶ 小球1,小球2それぞれの側のばねの縮みの最大値
を A1, A2 とすると,力学的エネルギー保存則より,
4. レイアウトへの応用
TeXユーザーの集い2015 47
物理教材における
利用例1
TeXユーザーの集い2015 48
!  先ほどのスライドです。
!  まだ触れられていない
tcolorbox が隠れてい
ることにお気づきで
しょうか…?
15
Priority:5
▶ 位置エネルギー
物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を
と定義する。
この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー
・
の
・
変
・
化
と保存力の間には以下の関係がある。
保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。
∆U = −W保
Priority:3
▶ 重力の位置エネルギー
上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる
∆U = − Fx dx
といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。
【重力の位置エネルギー】
右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0
から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力
は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める
と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方
向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働
いているとみなす)。
従って,この移動の際に重力がした仕事は,
Wg =
x
x0
(−mg) dx = −mg(x − x0)
と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで,
∆Ug = −
x
x0
(−mg) dx = mg(x − x0)
となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば,
Ug = mgx
が得られる。
Column
実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず
れかであることが知られて
・
い
・
た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化
学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。
しかし,アインシュタインが発見した E = mc2
という式によって,静止していて,かつ位置エネル
ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
物理教材における
利用例1
TeXユーザーの集い2015 49
!  先ほどのスライドです。
!  まだ触れられていない
tcolorbox が隠れてい
ることにお気づきで
しょうか…?
15
Priority:5
▶ 位置エネルギー
物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を
と定義する。
この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー
・
の
・
変
・
化
と保存力の間には以下の関係がある。
保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。
∆U = −W保
Priority:3
▶ 重力の位置エネルギー
上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる
∆U = − Fx dx
といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。
【重力の位置エネルギー】
右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0
から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力
は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める
と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方
向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働
いているとみなす)。
従って,この移動の際に重力がした仕事は,
Wg =
x
x0
(−mg) dx = −mg(x − x0)
と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで,
∆Ug = −
x
x0
(−mg) dx = mg(x − x0)
となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば,
Ug = mgx
が得られる。
Column
実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず
れかであることが知られて
・
い
・
た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化
学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。
しかし,アインシュタインが発見した E = mc2
という式によって,静止していて,かつ位置エネル
ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
物理教材における
利用例1
TeXユーザーの集い2015 50
!  箱があるようには見え
ないけれど,実際には
箱がある。
!  右側のインデントを調
整(tcolorbox の
width)。
!  インデントを調整する
だけでなく,線も引け
て枠のデザインも自由。
15
Priority:5
▶ 位置エネルギー
物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を
と定義する。
この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー
・
の
・
変
・
化
と保存力の間には以下の関係がある。
保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。
∆U = −W保
Priority:3
▶ 重力の位置エネルギー
上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる
∆U = − Fx dx
といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。
【重力の位置エネルギー】
右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0
から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力
は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める
と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方
向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働
いているとみなす)。
従って,この移動の際に重力がした仕事は,
Wg =
x
x0
(−mg) dx = −mg(x − x0)
と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで,
∆Ug = −
x
x0
(−mg) dx = mg(x − x0)
となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば,
Ug = mgx
が得られる。
Column
実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず
れかであることが知られて
・
い
・
た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化
学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。
しかし,アインシュタインが発見した E = mc2
という式によって,静止していて,かつ位置エネル
ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
レイアウトへの応用
!  empty skin で box の装飾をなくす。
!  width や height で box のサイズを
調整することで,左右インデントや行
取りが実現できる。
!  後から装飾を加えるのに都合が良い。
TeXユーザーの集い2015 51
レイアウトへの応用
!  empty skin で box の装飾をなくす。
!  width や height で box のサイズを
調整することで,左右インデントや行
取りが実現できる。
!  後から装飾を加えるのに都合が良い。
TeXユーザーの集い2015 52
少し凝ったページのレイアウトを実現
する際に有用。
書き込み余白も作れるのでは…?
TeXユーザーの集い2015 53
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 54
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
!  左側に線を引きたい
!  広い書き込みスペース
を作るときに,自動的
にページ下端までの高
さに調整したい。
!  任意のスペースを残し
て,ページ下端まで高
さを調整したい。
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 55
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
!  左側に線を引きたい
→ underlay で解決
!  広い書き込みスペース
を作るときに,自動的
にページ下端までの高
さに調整したい。
!  任意のスペースを残し
て,ページ下端まで高
さを調整したい。
目的のレイアウト
TeXユーザーの集い2015 56
2 3 23
Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。
ここで,気体2についてはピストン B があるので,
圧力が一定であることが分かります。ピストン B
が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り
立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧
になります。
この点に気づかなくても問題は解けますが,見通
しが良くなるのは間違いありません。
4
⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は,
圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため,
であることが分かります。両ピストンの動
きによる体積変化に注目しましょう。
NoteSpace
斜線部の体積が等しいので,
2S0z = Sh ∴ z = S
2S0
h
⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧
力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態
方程式を立てることが出来ます。
NoteSpace
加熱前後の EOS より,
V ′
1 + S0z
T′ =
V ′
1
T
後はⅡとⅢ⑴で V ′
1 と z を消去。
Answer: T ′
= T +
mgh
R
⑶ ⑵で T′
が求まるので,定圧変化であることを利
用して熱量を求めましょう。
NoteSpace
定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より,
Qin
= nCp∆T
= 5
2
R(T′
− T)
Answer: Q =
5
2
mgh
!  左側に線を引きたい
→ underlay で解決
!  広い書き込みスペース
を作るときに,自動的
にページ下端までの高
さに調整したい。
→ height fill で解決
!  任意のスペースを残し
て,ページ下端まで高
さを調整したい。
pdfsavepos の利用
!  拡張プリミティブ pdfsavepos を利
用して版面下端までの残り高さを計算
し,それを box の height として定
めれば良い。
!  残したい高さを任意に指定することが
可能。
TeXユーザーの集い2015 58
他にも幅広い使い方がありそう。
TeXユーザーの集い2015 59
raster library
!  プリアンブルに
tcbuselibrary{raster}。
!  複数の box の高さを揃えて一列に並
べられる。
TeXユーザーの集い2015 60
tcbrasterのサンプル
TeXユーザーの集い2015 61
講評における
tcbraster の利用例
TeXユーザーの集い2015 63
!  大問ごとに掲載する優
秀者人数が可変。
!  どの大問の掲載者が最
多になるか事前にわか
らない。
!  同じ高さの枠で囲みた
い。
講評における
tcbraster の利用例
TeXユーザーの集い2015 64
!  大問ごとに掲載する優
秀者人数が可変。
!  どの大問の掲載者が最
多になるか事前にわか
らない。
!  同じ高さの枠で囲みた
い。
tcbraster が便利
英単語集「鉄壁」
のレイアウトも
TeXユーザーの集い2015 65
!  左側が英語,右側が日
本語。
!  英語は発音記号も含め
て必ず2行。
!  日本語は1行以上の任
意の行数。
英単語集「鉄壁」
のレイアウトも
TeXユーザーの集い2015 66
!  左側が英語,右側が日
本語。
!  英語は発音記号も含め
て必ず2行。
!  日本語は1行以上の任
意の行数。
見えない形(empty skin)
で tcbraster を利用す
れば解決。
鉄壁の簡易版レイアウト
!  一見しただけでは tcolorbox の存在は全
く分からない。
TeXユーザーの集い2015 67
鉄壁の簡易版レイアウト
!  実際には box による高さ調整が為されて
いる。
TeXユーザーの集い2015 68
1.
[発音記号]
日本語での説明
2.
[発音記号]
日本語での説明 1
日本語での説明 2
日本語での説明 3
rasterとpdfsavepos
の組み合わせ1
TeXユーザーの集い2015 69
!  ページを(2, 2)の領域
に分割する。
!  raster height を版面
下端までの残り高さに
定める。
!  横に並べるボックスの
個数は raster
column で指定。
!  縦に並べるボックスの
個数は raster rows
で指定。
rasterとpdfsavepos
の組み合わせ2
TeXユーザーの集い2015 70
!  ページを(m, n)の領域
に分割する。
!  raster height を版面
下端までの残り高さに
定める。
!  横に並べるボックスの
個数は raster
column で指定。
!  縦に並べるボックスの
個数は raster rows
で指定。
rasterとpdfsavepos
の組み合わせ3
TeXユーザーの集い2015 71
!  foreach を使えば m
と n の変更は容易。
5. 今後の活動
TeXユーザーの集い2015 72
本日紹介した創作 box
!  ウェブサイト上で公開予定。
◦  http://www.geocities.jp/texmedicine/
!  新たな box ができ次第更新。
TeXユーザーの集い2015 73
その他 tcolorbox について
!  tcolorbox の詳細は公式マニュアル
(英文400ページ程度)を参照。
!  利用頻度の高い部分を抜粋してまとめ
た日本語版簡易マニュアルを作成中
(近日公開予定)。
!  新たな利用法やデザインに関して,発
見などがあれば随時ブログで公開予定。
◦  http://texmedicine.hatenadiary.jp
TeXユーザーの集い2015 74

More Related Content

What's hot

【DL輪読会】Perceiver io a general architecture for structured inputs & outputs
【DL輪読会】Perceiver io  a general architecture for structured inputs & outputs 【DL輪読会】Perceiver io  a general architecture for structured inputs & outputs
【DL輪読会】Perceiver io a general architecture for structured inputs & outputs Deep Learning JP
 
全力解説!Transformer
全力解説!Transformer全力解説!Transformer
全力解説!TransformerArithmer Inc.
 
最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情
最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情
最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情Yuta Kikuchi
 
Attentionの基礎からTransformerの入門まで
Attentionの基礎からTransformerの入門までAttentionの基礎からTransformerの入門まで
Attentionの基礎からTransformerの入門までAGIRobots
 
機械学習モデルの判断根拠の説明
機械学習モデルの判断根拠の説明機械学習モデルの判断根拠の説明
機械学習モデルの判断根拠の説明Satoshi Hara
 
統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-
統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-
統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-Shiga University, RIKEN
 
深層生成モデルと世界モデル
深層生成モデルと世界モデル深層生成モデルと世界モデル
深層生成モデルと世界モデルMasahiro Suzuki
 
最適化超入門
最適化超入門最適化超入門
最適化超入門Takami Sato
 
工学系大学4年生のための論文の読み方
工学系大学4年生のための論文の読み方工学系大学4年生のための論文の読み方
工学系大学4年生のための論文の読み方ychtanaka
 
勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)
勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)
勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)RyuichiKanoh
 
[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction
[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction
[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured PredictionDeep Learning JP
 
機械学習で泣かないためのコード設計 2018
機械学習で泣かないためのコード設計 2018機械学習で泣かないためのコード設計 2018
機械学習で泣かないためのコード設計 2018Takahiro Kubo
 
Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説tancoro
 
TeX in educational institutes (TUG 2013)
TeX in educational institutes (TUG 2013)TeX in educational institutes (TUG 2013)
TeX in educational institutes (TUG 2013)Yasuhide Minoda
 
DockerコンテナでGitを使う
DockerコンテナでGitを使うDockerコンテナでGitを使う
DockerコンテナでGitを使うKazuhiro Suga
 
潜在ディリクレ配分法
潜在ディリクレ配分法潜在ディリクレ配分法
潜在ディリクレ配分法y-uti
 
生成モデルの Deep Learning
生成モデルの Deep Learning生成モデルの Deep Learning
生成モデルの Deep LearningSeiya Tokui
 
統計的係り受け解析入門
統計的係り受け解析入門統計的係り受け解析入門
統計的係り受け解析入門Yuya Unno
 
【解説】 一般逆行列
【解説】 一般逆行列【解説】 一般逆行列
【解説】 一般逆行列Kenjiro Sugimoto
 
Visual Studio CodeでRを使う
Visual Studio CodeでRを使うVisual Studio CodeでRを使う
Visual Studio CodeでRを使うAtsushi Hayakawa
 

What's hot (20)

【DL輪読会】Perceiver io a general architecture for structured inputs & outputs
【DL輪読会】Perceiver io  a general architecture for structured inputs & outputs 【DL輪読会】Perceiver io  a general architecture for structured inputs & outputs
【DL輪読会】Perceiver io a general architecture for structured inputs & outputs
 
全力解説!Transformer
全力解説!Transformer全力解説!Transformer
全力解説!Transformer
 
最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情
最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情
最近のDeep Learning (NLP) 界隈におけるAttention事情
 
Attentionの基礎からTransformerの入門まで
Attentionの基礎からTransformerの入門までAttentionの基礎からTransformerの入門まで
Attentionの基礎からTransformerの入門まで
 
機械学習モデルの判断根拠の説明
機械学習モデルの判断根拠の説明機械学習モデルの判断根拠の説明
機械学習モデルの判断根拠の説明
 
統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-
統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-
統計的因果推論への招待 -因果構造探索を中心に-
 
深層生成モデルと世界モデル
深層生成モデルと世界モデル深層生成モデルと世界モデル
深層生成モデルと世界モデル
 
最適化超入門
最適化超入門最適化超入門
最適化超入門
 
工学系大学4年生のための論文の読み方
工学系大学4年生のための論文の読み方工学系大学4年生のための論文の読み方
工学系大学4年生のための論文の読み方
 
勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)
勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)
勾配ブースティングの基礎と最新の動向 (MIRU2020 Tutorial)
 
[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction
[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction
[DL輪読会]Reward Augmented Maximum Likelihood for Neural Structured Prediction
 
機械学習で泣かないためのコード設計 2018
機械学習で泣かないためのコード設計 2018機械学習で泣かないためのコード設計 2018
機械学習で泣かないためのコード設計 2018
 
Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説Triplet Loss 徹底解説
Triplet Loss 徹底解説
 
TeX in educational institutes (TUG 2013)
TeX in educational institutes (TUG 2013)TeX in educational institutes (TUG 2013)
TeX in educational institutes (TUG 2013)
 
DockerコンテナでGitを使う
DockerコンテナでGitを使うDockerコンテナでGitを使う
DockerコンテナでGitを使う
 
潜在ディリクレ配分法
潜在ディリクレ配分法潜在ディリクレ配分法
潜在ディリクレ配分法
 
生成モデルの Deep Learning
生成モデルの Deep Learning生成モデルの Deep Learning
生成モデルの Deep Learning
 
統計的係り受け解析入門
統計的係り受け解析入門統計的係り受け解析入門
統計的係り受け解析入門
 
【解説】 一般逆行列
【解説】 一般逆行列【解説】 一般逆行列
【解説】 一般逆行列
 
Visual Studio CodeでRを使う
Visual Studio CodeでRを使うVisual Studio CodeでRを使う
Visual Studio CodeでRを使う
 

tcolorboxによる装飾表現(TeXユーザの集い2015)

  • 3. 佐藤 淳俊 (さとう あつとし) !  鉄緑会物理科 高2/高3担当 3年目 ◦  教材作成のために TeX を学ぶ。 ◦  とはいえまだ3年目であり,普段は鉄緑会独自の パッケージで TeX を使っているので,TeX に関 する一般的な知識はほぼ空っぽ。 !  東京大学医学部医学科 3年 ◦  レポート作成で TeX を使用することもしばしば。 TeXユーザーの集い2015 3
  • 5. なぜ tcolorbox か !  高校生向けの教材を作成するにあたっ て,複数種類の枠で囲む環境が必要 だった。 !  ページまたぎもできると尚良い。 !  生徒の書き込み用スペースを作成する ためのレイアウトを実現するのに苦労 していた。 TeXユーザーの集い2015 5
  • 6. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 6 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh
  • 7. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 7 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh !  左側に装飾付きの線を 引きたい
  • 8. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 8 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh !  左側に装飾付きの線を 引きたい !  広い書き込みスペース を作るときに,自動的 にページ下端までの高 さに調整したい。
  • 9. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 9 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh !  左側に装飾付きの線を 引きたい !  広い書き込みスペース を作るときに,自動的 にページ下端までの高 さに調整したい。 !  任意のスペースを残し て,ページ下端まで高 さを調整したい。
  • 11. インストール !  TeX Live には標準でインストールさ れている。 !  内部的に TikZ を呼び出して利用する。 TeXユーザーの集い2015 11
  • 12. 使用準備 !  pLaTeX + dvipdfmx で利用する場合 の典型的プリアンブル TeXユーザーの集い2015 12 !  ドキュメントクラスオプションに dvipdfmx を付けておくと,dvipdfmx 用設定で graphicx, xcolor, tikz パッ ケージがロードされる。
  • 13. tcolorbox の作成 !  options で様々な変更が可能。 !  minipage を利用して作成されており, width はデフォルトでは linewidth に なる。 TeXユーザーの集い2015 13 基本的な tcolorbox の作成 begin{tcolorbox}[⟨options⟩] ⟨environment content⟩ end{tcolorbox}
  • 15. options でできること色々 !  box のサイズ変 更 !  枠のデザイン !  透過性の設定 !  ページまたぎ !  表作成(tabular) !  画像の貼り込み !  box のネストの 調整 !  前後余白の調整 !  インラインでの利 用(tcbox) !  タイトルの独立, 場所変更 !  高さ揃え(後述) !  上下分割の調整 !  影付き box など,あげたらきりがない TeXユーザーの集い2015 15
  • 18. インラインでの利用(tcbox) TeXユーザーの集い2015 18 Testdotfill tcbox[tcbox raise base]{tcbox1}dotfill tcbox{tcbox2} Test . . . . . . . . . . tcbox1 . . . . . . . . . . tcbox2
  • 19. 表作成(tabular との組み合わせ) TeXユーザーの集い2015 19 tcbox[left=0mm,right=0mm,top=0mm,bottom=0mm, boxsep=0mm,title=My table]{% begin{tabular}{r|c|l} One & Two & Three hline Four & Five & Six end{tabular}} My table One Two Three Four Five Six
  • 21. 画像の貼り込み1 TeXユーザーの集い2015 21 begin{tcolorbox}[enhanced,title=My title,title style image=blueshade.png] upper part tcblower lower part end{tcolorbox} My title upper part lower part
  • 22. TeXユーザーの集い2015 22 begin{tcolorbox}[enhanced,title=My title,interior style tile={width=2cm}{paper.png}] upper part tcblower lower part end{tcolorbox} My title upper part lower part 画像の貼り込み2
  • 23. 上下パート分割,影付きの box TeXユーザーの集い2015 23 begin{tcolorbox}[enhanced, colframe=salmon,colback=salmon!20!white, coltitle=black,sharp corners, drop fuzzy shadow,title=My box] upper part tcblower lower part end{tcolorbox} My box upper part lower part
  • 24. タイトルの独立・位置調整 TeXユーザーの集い2015 24 begin{tcolorbox}[enhanced,title=My title, attach boxed title to top center] This is a textbf{tcolorbox}. end{tcolorbox} My title This is a tcolorbox.
  • 26. newtcolorbox, newtcbox !  newenvironment / newcommand と同様の振る舞い。 TeXユーザーの集い2015 26 tcolorbox の定義 newtcolorbox[⟨init options⟩] {⟨name⟩}[⟨number⟩][⟨default⟩]{⟨options⟩} tcbox の定義 newtcbox[⟨init options⟩] {⟨name⟩}[⟨number⟩][⟨default⟩]{⟨options⟩}
  • 27. DeclareTColorBox !  DeclareDocumentEnvironment と 同様の振る舞い。xparse library を読 み込む必要あり(プリアンブルに tcbuselibrary{xparse} )。 !  引数を増やせる,*の有無による挙動 変化を設定できる。 TeXユーザーの集い2015 27 DeclareTColorBox による定義 DeclareTColorBox[⟨init options⟩] {⟨name⟩}{⟨supecification⟩}{⟨options⟩}
  • 28. skin の変更 ― enhanced !  skin は枠の見た目を決める土台。 !  standard, enhanced, empty など。 !  enhanced skin を用いると,描画に tikz コマンドを利用できる。 !  枠の見た目を劇的に変化させることが 可能(shadow も enhanced skin を 利用)。 !  完全にイチから box を作成する際は, empty skin で全てを空っぽにする。 TeXユーザーの集い2015 28
  • 29. options の活用 ― underlay !  TikZ コマンドを用いて,box に自由 に描画を上書きできる。 !  各種枠(タイトル部,テキスト背景部 など)の座標を取得することが可能な ので,box の枠などを自由に創作で きる。 TeXユーザーの集い2015 29
  • 31. 創作box例2 !  manual にある box-改 TeXユーザーの集い2015 31
  • 32. 創作box例3 !  これも manual にある box-改 TeXユーザーの集い2015 32
  • 33. 創作box例4 !  enhanced skin を利用して作成。 TeXユーザーの集い2015 33
  • 40. 物理教材における 利用例1 TeXユーザーの集い2015 40 15 Priority:5 ▶ 位置エネルギー 物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を と定義する。 この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー ・ の ・ 変 ・ 化 と保存力の間には以下の関係がある。 保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。 ∆U = −W保 Priority:3 ▶ 重力の位置エネルギー 上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる ∆U = − Fx dx といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。 【重力の位置エネルギー】 右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0 から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力 は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方 向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働 いているとみなす)。 従って,この移動の際に重力がした仕事は, Wg = x x0 (−mg) dx = −mg(x − x0) と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで, ∆Ug = − x x0 (−mg) dx = mg(x − x0) となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば, Ug = mgx が得られる。 Column 実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず れかであることが知られて ・ い ・ た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化 学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。 しかし,アインシュタインが発見した E = mc2 という式によって,静止していて,かつ位置エネル ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
  • 41. 物理教材における 利用例2 TeXユーザーの集い2015 41 22 2 断熱圧縮なので,温度は上昇,∆U > 0 となるは ずです。 ⑶ 続いて θ = 180◦ で加熱するわけですが,この加 熱の間,ピストンに働く力は常につり合うので,定 圧変化をすることが分かります。定圧変化に関して は,必ず以下の点を押さえておきましょう。 【定圧変化の特性】 定圧変化においては, Qin : ∆U : Wout = Cp : Cv : R が成り立つ。特に,単原子分子理想気体の 場合は Qin : ∆U : Wout = 5 : 3 : 2 となる。 今回であれば, Wout = 3 2 p0 · (H3 − H2) が直ぐに求まるので, Qin = Cp R Wout = 3(Cv + R) 2R p0 · (H3 − H2) ∆U = Cv R Wout = 3Cv 2R p0 · (H3 − H2) としてスムーズに計算することが出来ます。熱力学 第一法則から求めるより圧倒的に早いので,この方 法は使えるようにしておくべきです。ということで,     を埋めてから     を埋めることにな りますね。 ここまでの p − V グラフは以下の通りです。 ⑷ 再び断熱変化です。断熱変化に関しては,∆U + Wout = 0 が成り立つことを思い出したいところ です。p − V グラフの面積から Wout を求めるの は困難なので,∆U から間接的に求めることが圧 倒的に多いです。今回も,状態方程式を使って温 度を求めてから ∆U を計算することになりますね。     は猿でも出来ますから,必ず解きましょう。 飛ばしてしまうのはあまりにも勿体無いです。 この変化が断熱膨張であることを踏まえると, p − V グラフは以下の通りです。 ⑸ 最後は再び定圧変化です。やはり Wout = 1 2 p0 · (H1 − H4) が直ぐに求まるので,これを元に考えましょう。 Qin = Cv + R R Wout なので,−Qin を計算しましょう。 これでサイクル1周が終わりました。サイクル全 体の p − V グラフは以下の通りです。
  • 42. 物理教材における 利用例3 TeXユーザーの集い2015 42 22 6 となること」の2つです。ベクトルの図で整理する と下図の通りです。 これより,求める台の移動は −x 方向に lM = m m + M 2l + h tan θ であることが分かりますね。 Ⅰ 回路を組み立てる問題です。何となく似た回路を 思い浮かべられないと厳しい内容かもしれません。 問題となるのは恐らく可変抵抗の扱いですが,メー トルブリッジの問題を解いたことがあるとイメージ しやすかったかもしれません。 参 考 メートルブリッジとは,未知の抵抗の抵 抗値を測定する以下のような回路です。 検流計が繋がれた導線をメートル部分に 接続する部分を徐々にずらし,検流計に電 流が流れない点を見つけます。このときの メートルブリッジにおいて,l1, l2 を上の 図のように定めると,ブリッジ回路の公式 より R0 : RX = l1 : l2 が成り立つので,RX を求めることが出来 ます。 初見であれば問題自体は解けなくても良いですが, 何となくで良いので答えの形を頭に入れておきたい ですね。 Ⅱ 念のためダイオードの順方向の確認。ダイオード の素子の電圧と電流の順方向は以下の図の通りです。 この V と I の関係が図で与えられています(た だし,I の単位が [mA] であることに注意)。特性 曲線からも分かる通り,ダイオードは順方向のみに 電流を流します。
  • 43. 物理教材における 利用例4 TeXユーザーの集い2015 43 20 6 く解けます。これは運動方程式を立てる際に ay を 用いているからであり,ay を用いれば 1 2 ayt1 2 = h と立式できます。斜面上での動きを考えるのであれ ば,斜面上で(慣性力を含めて)運動方程式を立て, 斜面方向の加速度を求めてから等加速度運動の公式 を利用しましょう。 ⑺ 台の運動方程式から台の加速度を求め,t1 を使っ て V1 を求めます。この際,運動方程式から求まる b が “加速度” であり,符号付きであることに注意し ましょう。求めるのは台の速さなので, V1 = |bt1| を計算することになります。 ⑻ 運動量保存則とエネルギー保存則を連立させる非 常にオーソドクスな内容です。方針はすぐに立てら れないとマズいですね。また,「運動量保存則とエ ネルギー保存則を連立させる」という計算は非常に よく出るので,大体の計算の流れは頭に入れておく と良いでしょう。 相対運動と重心系から考えるとやはり計 算は楽になります。エネルギー保存則は,相 対速度の大きさ vr を用いて 1 2 µvr 2 = mgh となるので, vr = 2mgh µ = 2(m + M)gh M が直ぐに求まります。 重心系(今回は静止系)から見ると,2物 体の速度の大きさは速度の逆比になるので, v2 = M m + M vr = 2Mgh m + M V2 = m m + M vr = 2m2 gh M(m + M) として答えが求まります。 ⑼ 1 2 MV2 2 − 1 2 MV1 2 を計算すれば良いことは直 ぐに分かると思いますが,計算量がひどいですね…。 ここで先に⑽,⑾の問題を見て先に解いてしまって, 最後に時間と相談しながら⑼を計算するのが良いで しょう。 この問題,重心系から考えるととっても 大変です。重心速度も変化するので危ない 匂いはするのですが,考えなければいけな い「静止系から見た台の運動エネルギーの 変化」は重心速度とも相対速度とも結びつ けにくいからです。どうしても重心で考え たい,という場合であれば無理ではないで すが,非常に難しい考え方になるので実戦 的ではないでしょう。興味がある人のため, 問題の形式で以下に掲載しておきます。 参考問題 ⑴ A が Q を通過する直前の重心速度 vG を求めよ。 ⑵ A が Q を通過した直後の重心速度 vG ′ を求めよ。 ⑶ A が Q を通過する直前と直後の A と 台について,重心から見た速度を始点を そろえてそれぞれ書け。 ⑷ A が通過する直前の相対速度の大きさ vr および通過する直後の相対速度の大き さ vr ′ を用いて,⑶のそれぞれの速度ベ クトルの大きさを表せ。 ⑸ vr と vr ′ の間に成り立つ関係式を,vG を用いて表せ。 ⑹ vr を vG を用いて表せ。 ⑺ 求める台の運動エネルギーの変化 ∆K を,vr, vr ′ を用いて表せ。 ⑻ 以上の結果を用いて,∆K を vG を用 いて表せ。 【解答】 ⑴ 系は水平方向に外力を受けないので,重心速度が y 軸に平行であることに注意して, vG = m m + M vy ⑵ A,台の鉛直方向の速度が共に 0 なので, vG ′ = 0
  • 44. 東大物理問題集 における利用例1 TeXユーザーの集い2015 44 2013 1 1 解答例 Ⅰ⑴ 小球1に関する力学的エネルギー保存則より,求める速さを v1 として, 1 2 ks2 = 1 2 mv1 2 + 1 2 kd2 v1 = k m (s2 − d2 ) ⑵ 等質量の2物体が弾性衝突するとき2物体の速度が交換されるので,衝突直後の2物体の速さは, 小球1 : 0, 小球2 : v1 = k m (s2 − d2 ) ⑶ 小球1,小球2それぞれの側のばねの縮みの最大値を A1, A2 とすると,力学的エネルギー保存則より, 小球1 : 1 2 kd2 = 1 2 kA1 2 , 小球2 : 1 2 mv1 2 = 1 2 kA2 2 よって, A1 = d, A2 = B s2 − d2 ⑷ s = B 2 d のとき,A1 = A2 = d となる。 衝突後の小球1,小球2の運動はともに振幅 d,周期 T = 2π m k の単振動であり,小球1は端点から,小球2は振動 中心から動き始めるので,それぞれの位置は図のような時間 変化をする。ただし,x 軸は小球1側のばねの自然長の位置を 原点とし,右向きが正である。 これより,2つの小球が再び衝突するまでの時間は, 3 4 T = 3π 2 m k Ⅱ⑴ ばねが s だけ縮んでいるときの小球1のつり合いを考えて,小球1が動き始める条件は, ks > µmg s > µmg k ⑵ 小球1が右向きに動いているときの運動方程式は, m d2 x dt2 = −kx − µ′ mg d2 x dt2 = − k m x + µ′ mg k よって,小球1は,x = − µ′ mg k を振動中心とする単振動をする。x = −s が振動の左端なので,右端の座 標 x1 は, x1 − s 2 = − µ′ mg k x1 = s − 2µ′ mg k 小球1が小球2に衝突する条件は,x1 >= d より, s >= d + 2µ′ mg k よって求める s の最小値は, s = d + 2µ′ mg k 配点 Ⅰ⑴ 3 点(☆) ⑵ 4 点(☆) ⑶ 3 点(☆) ⑷ 3 点(☆☆) Ⅱ⑴ 3 点(☆) ⑵ 4 点(☆☆) 採点基準 Ⅰ⑴ エネルギー保存則を立式して····························1 点 衝突直前の小球1の速さを求めて····················2 点 ⑵ 衝突後の小球の速さを求めて·······················各 2 点 ⑶ 左側のバネの最大の縮みを求めて····················1 点 右側のバネの最大の縮みを求めて····················2 点 ⑷ 求める時間が周期の 3 4 だと述べて·················1 点 衝突までの時間を求めて····································2 点 Ⅱ⑴ s の条件を求めて·················································3 点
  • 45. 東大物理問題集 における利用例2 TeXユーザーの集い2015 45 2013 1 指針 Ⅰは,単振動と衝突を組み合わせた2体問題です。エ ネルギー保存則や速度交換の知識があれば,⑶までは迷 うことなく解き進められるはずです。一方で,⑷に関し ては単振動を踏まえた時間の考察を行うことになります。 「単振動の中途半端な時間を考えるときは,円運動を復 元して考える」という定石を踏まえて,グラフを描きな がら整理して考えれば答えに至るのは難しくはないで しょう。 一方でⅡの内容は,Ⅰとは完全に独立したものとなっ ています。解けない設問があっても,全ての問題に目を 通す,という習慣を付けられていれば,Ⅰが解けていな くてもⅡで得点できるはずです。⑴の内容は基本問題で すが,⑵は少々難しいでしょうか。単振動の運動方程式 から振動の範囲を考える方法,エネルギー保存則を使う 方法がありますが,どちらも自然な発想から至ることの できる解法といえるでしょう。 解説 以下では,小球1側のばねの自然長の位置を原点とす る x 軸を右向きに取るものとする。 Ⅰ⑴ 小球1に関する力学的エネルギー保存則より,求 値を v1 として, 1 2 ks2 = 1 2 mv1 2 + 1 2 kd2 が成り立つので,これを解いて v1 = k m (s2 − d2 ) を得る。 注 小球1が x = 0 を振動中心,x = s を右端とする 単振動を行うことから,小球1,2が衝突するため に必要な条件は s > d である。 これは,⑴で求まる v1 が正の実数として存在す る条件と一致する。 ⑵ 等質量の2物体が弾性衝突するとき,衝突前後で2 物体の速度が交換される(速度交換)ので,衝突直後 の2物体の速さは, 小球1 : 0 小球2 : v1 = k m (s2 − d2 ) ⎫ ⎪⎬ ⎪⎭ として得られる。 別解 衝突直後の小球1,2の速度をそれぞれ v′ 1, v′ 2 と おくと,運動量保存則より, mv1 = mv′ 1 + mv′ 2 が成り立つ。はね返り係数の定義式 v1 v′ 2 − v′ 1 = 1 と連立して, v′ 1 = 0 v′ 2 = k m (s2 − d2 ) ⎫ ⎪⎬ ⎪⎭ を得る。 別解 系の重心速度は vG = 1 2 v1 であるから,重心系に おける衝突前の小球1,2の速度はそれぞれ v1G = 1 2 v1, v2G = − 1 2 v1 である。衝突により,各小球の速度は −1 倍されるの で,衝突後の重心系における衝突前の小球1,2の速 度はそれぞれ v′ 1G = − 1 2 v1, v′ 2G = 1 2 v1 である。よって,静止系から見た衝突後の各小球の速 度は, v′ 1 = vG + v′ 1G = 0 v′ 2 = vG + v′ 2G = v1 = k m (s2 − d2 ) ⎫ ⎪⎬ ⎪⎭ として求まる。 参考 一般に,質量がともに m の2物体が一次元的に 完全弾性衝突することを考える。衝突直前および 直後の2物体の速度を v1, v2 および v′ 1, v′ 2 とする と,運動量保存則,およびはね返り係数の定義式 より, mv1 + mv2 = mv′ 1 + mv′ 2 v′ 2 − v′ 1 v1 − v2 = 1 が成り立つ。よって, v′ 1 = v2, v′ 2 = v1 であることが分かる。 これより,等質量の2物体の一次元的な弾性衝突 では,衝突前後で速度が交換されることが示された。 ポイント 別解で示したように,一般に2物体の衝突後の速 度は,運動量保存則とはね返り係数の定義式を連立 することで求まる。完全弾性衝突の際には,はね返 り係数の定義式の代わりにエネルギー保存則を用 いることもできるが,速度についての2次方程式と なってしまうため,はね返り係数の定義式を用いる 方が賢明である。 ⑶ 小球1,小球2それぞれの側のばねの縮みの最大値 を A1, A2 とすると,力学的エネルギー保存則より,
  • 46. 東大物理問題集 における利用例2 TeXユーザーの集い2015 46 2013 1 指針 Ⅰは,単振動と衝突を組み合わせた2体問題です。エ ネルギー保存則や速度交換の知識があれば,⑶までは迷 うことなく解き進められるはずです。一方で,⑷に関し ては単振動を踏まえた時間の考察を行うことになります。 「単振動の中途半端な時間を考えるときは,円運動を復 元して考える」という定石を踏まえて,グラフを描きな がら整理して考えれば答えに至るのは難しくはないで しょう。 一方でⅡの内容は,Ⅰとは完全に独立したものとなっ ています。解けない設問があっても,全ての問題に目を 通す,という習慣を付けられていれば,Ⅰが解けていな くてもⅡで得点できるはずです。⑴の内容は基本問題で すが,⑵は少々難しいでしょうか。単振動の運動方程式 から振動の範囲を考える方法,エネルギー保存則を使う 方法がありますが,どちらも自然な発想から至ることの できる解法といえるでしょう。 解説 以下では,小球1側のばねの自然長の位置を原点とす る x 軸を右向きに取るものとする。 Ⅰ⑴ 小球1に関する力学的エネルギー保存則より,求 値を v1 として, 1 2 ks2 = 1 2 mv1 2 + 1 2 kd2 が成り立つので,これを解いて v1 = k m (s2 − d2 ) を得る。 注 小球1が x = 0 を振動中心,x = s を右端とする 単振動を行うことから,小球1,2が衝突するため に必要な条件は s > d である。 これは,⑴で求まる v1 が正の実数として存在す る条件と一致する。 注 小球1が x = 0 単振動を行うこと に必要な条件は s ⑵ 等質量の2物体が弾性衝突するとき,衝突前後で2 物体の速度が交換される(速度交換)ので,衝突直後 の2物体の速さは, 小球1 : 0 小球2 : v1 = k m (s2 − d2 ) ⎫ ⎪⎬ ⎪⎭ として得られる。 別解 衝突直後の小球1,2の速度をそれぞれ v′ 1, v′ 2 と おくと,運動量保存則より, mv1 = mv′ 1 + mv′ 2 が成り立つ。はね返り係数の定義式 v1 v′ 2 − v′ 1 = 1 と連立して, v′ 1 = 0 v′ 2 = k m (s2 − d2 ) ⎫ ⎪⎬ ⎪⎭ を得る。 別解 系の重心速度は vG = 1 2 v1 であるから,重心系に おける衝突前の小球1,2の速度はそれぞれ v1G = 1 2 v1, v2G = − 1 2 v1 である。衝突により,各小球の速度は −1 倍されるの で,衝突後の重心系における衝突前の小球1,2の速 度はそれぞれ v′ 1G = − 1 2 v1, v′ 2G = 1 2 v1 である。よって,静止系から見た衝突後の各小球の速 度は, v′ 1 = vG + v′ 1G = 0 v′ 2 = vG + v′ 2G = v1 = k m (s2 − d2 ) ⎫ ⎪⎬ ⎪⎭ として求まる。 参考 一般に,質量がともに m の2物体が一次元的に 完全弾性衝突することを考える。衝突直前および 直後の2物体の速度を v1, v2 および v′ 1, v′ 2 とする と,運動量保存則,およびはね返り係数の定義式 より, mv1 + mv2 = mv′ 1 + mv′ 2 v′ 2 − v′ 1 v1 − v2 = 1 が成り立つ。よって, v′ 1 = v2, v′ 2 = v1 であることが分かる。 これより,等質量の2物体の一次元的な弾性衝突 では,衝突前後で速度が交換されることが示された。 参考 一般に, 完全弾性衝 直後の2物 ポイント 別解で示したように,一般に2物体の衝突後の速 度は,運動量保存則とはね返り係数の定義式を連立 することで求まる。完全弾性衝突の際には,はね返 り係数の定義式の代わりにエネルギー保存則を用 いることもできるが,速度についての2次方程式と なってしまうため,はね返り係数の定義式を用いる 方が賢明である。 ポイ 別解で示 度は,運動 ⑶ 小球1,小球2それぞれの側のばねの縮みの最大値 を A1, A2 とすると,力学的エネルギー保存則より,
  • 48. 物理教材における 利用例1 TeXユーザーの集い2015 48 !  先ほどのスライドです。 !  まだ触れられていない tcolorbox が隠れてい ることにお気づきで しょうか…? 15 Priority:5 ▶ 位置エネルギー 物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を と定義する。 この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー ・ の ・ 変 ・ 化 と保存力の間には以下の関係がある。 保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。 ∆U = −W保 Priority:3 ▶ 重力の位置エネルギー 上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる ∆U = − Fx dx といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。 【重力の位置エネルギー】 右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0 から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力 は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方 向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働 いているとみなす)。 従って,この移動の際に重力がした仕事は, Wg = x x0 (−mg) dx = −mg(x − x0) と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで, ∆Ug = − x x0 (−mg) dx = mg(x − x0) となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば, Ug = mgx が得られる。 Column 実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず れかであることが知られて ・ い ・ た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化 学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。 しかし,アインシュタインが発見した E = mc2 という式によって,静止していて,かつ位置エネル ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
  • 49. 物理教材における 利用例1 TeXユーザーの集い2015 49 !  先ほどのスライドです。 !  まだ触れられていない tcolorbox が隠れてい ることにお気づきで しょうか…? 15 Priority:5 ▶ 位置エネルギー 物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を と定義する。 この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー ・ の ・ 変 ・ 化 と保存力の間には以下の関係がある。 保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。 ∆U = −W保 Priority:3 ▶ 重力の位置エネルギー 上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる ∆U = − Fx dx といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。 【重力の位置エネルギー】 右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0 から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力 は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方 向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働 いているとみなす)。 従って,この移動の際に重力がした仕事は, Wg = x x0 (−mg) dx = −mg(x − x0) と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで, ∆Ug = − x x0 (−mg) dx = mg(x − x0) となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば, Ug = mgx が得られる。 Column 実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず れかであることが知られて ・ い ・ た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化 学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。 しかし,アインシュタインが発見した E = mc2 という式によって,静止していて,かつ位置エネル ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
  • 50. 物理教材における 利用例1 TeXユーザーの集い2015 50 !  箱があるようには見え ないけれど,実際には 箱がある。 !  右側のインデントを調 整(tcolorbox の width)。 !  インデントを調整する だけでなく,線も引け て枠のデザインも自由。 15 Priority:5 ▶ 位置エネルギー 物体がある位置に存在することによって得る,他の物体に仕事をすることが出来る能力を と定義する。 この定義から,仕事をした分位置エネルギーは減少してしまうため,位置エネルギー ・ の ・ 変 ・ 化 と保存力の間には以下の関係がある。 保存力の為す仕事 W保 を用いて,保存力の位置エネルギー U を以下の通りに定める。 ∆U = −W保 Priority:3 ▶ 重力の位置エネルギー 上記の位置エネルギーの定義と,(1次元の)仕事の定義式:W保 = Fx dx から得られる ∆U = − Fx dx といった式を用いることで,重力や弾性力の位置エネルギーを考えることができる。 【重力の位置エネルギー】 右のように,x 軸を鉛直上向きに取り,物体が位置 x0 から任意の位置 x まで移動した場合を考える。働く重力 は,鉛直下向きで,大きさが mg なので,向きも含める と,−mg と書くことができる(今は鉛直上向きを正方 向としているので,鉛直下向きに働く力は負の方向に働 いているとみなす)。 従って,この移動の際に重力がした仕事は, Wg = x x0 (−mg) dx = −mg(x − x0) と書くことができ,また,(5–1)式を用いることで, ∆Ug = − x x0 (−mg) dx = mg(x − x0) となる。ここで,基準の位置 x0 を 0(すなわち,地面を基準として考える)とすれば, Ug = mgx が得られる。 Column 実は,世の中に存在するあらゆる種類のエネルギーは「運動エネルギー」か「位置エネルギー」のいず れかであることが知られて ・ い ・ た。例えば,「熱エネルギー」は分子が持つ運動エネルギーであるし,「化 学エネルギー」は原子が持つ電子の位置エネルギーと考えられる。 しかし,アインシュタインが発見した E = mc2 という式によって,静止していて,かつ位置エネル ギーを持たないような物体でも「質量エネルギー」を持つことが明らかになった。
  • 51. レイアウトへの応用 !  empty skin で box の装飾をなくす。 !  width や height で box のサイズを 調整することで,左右インデントや行 取りが実現できる。 !  後から装飾を加えるのに都合が良い。 TeXユーザーの集い2015 51
  • 52. レイアウトへの応用 !  empty skin で box の装飾をなくす。 !  width や height で box のサイズを 調整することで,左右インデントや行 取りが実現できる。 !  後から装飾を加えるのに都合が良い。 TeXユーザーの集い2015 52 少し凝ったページのレイアウトを実現 する際に有用。
  • 54. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 54 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh !  左側に線を引きたい !  広い書き込みスペース を作るときに,自動的 にページ下端までの高 さに調整したい。 !  任意のスペースを残し て,ページ下端まで高 さを調整したい。
  • 55. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 55 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh !  左側に線を引きたい → underlay で解決 !  広い書き込みスペース を作るときに,自動的 にページ下端までの高 さに調整したい。 !  任意のスペースを残し て,ページ下端まで高 さを調整したい。
  • 56. 目的のレイアウト TeXユーザーの集い2015 56 2 3 23 Ⅲ 最後は問Ⅱの状態から気体1を熱していきます。 ここで,気体2についてはピストン B があるので, 圧力が一定であることが分かります。ピストン B が大活躍ですね。ピストン1についてはⅠ⑴が成り 立つので,気体2が定圧である以上,気体1も定圧 になります。 この点に気づかなくても問題は解けますが,見通 しが良くなるのは間違いありません。 4 ⑴ z も h も関係する気体2に注目します。気体2は, 圧力が一定であるうえ,温度も一定であるため, であることが分かります。両ピストンの動 きによる体積変化に注目しましょう。 NoteSpace 斜線部の体積が等しいので, 2S0z = Sh ∴ z = S 2S0 h ⑵ 気体1の温度を求めます。気体1については,圧 力がⅡと等しく,体積変化が S0z であるため,状態 方程式を立てることが出来ます。 NoteSpace 加熱前後の EOS より, V ′ 1 + S0z T′ = V ′ 1 T 後はⅡとⅢ⑴で V ′ 1 と z を消去。 Answer: T ′ = T + mgh R ⑶ ⑵で T′ が求まるので,定圧変化であることを利 用して熱量を求めましょう。 NoteSpace 定圧変化の吸熱量は,Cp の定義より, Qin = nCp∆T = 5 2 R(T′ − T) Answer: Q = 5 2 mgh !  左側に線を引きたい → underlay で解決 !  広い書き込みスペース を作るときに,自動的 にページ下端までの高 さに調整したい。 → height fill で解決 !  任意のスペースを残し て,ページ下端まで高 さを調整したい。
  • 57. pdfsavepos の利用 !  拡張プリミティブ pdfsavepos を利 用して版面下端までの残り高さを計算 し,それを box の height として定 めれば良い。 !  残したい高さを任意に指定することが 可能。 TeXユーザーの集い2015 58
  • 59. raster library !  プリアンブルに tcbuselibrary{raster}。 !  複数の box の高さを揃えて一列に並 べられる。 TeXユーザーの集い2015 60
  • 61. 講評における tcbraster の利用例 TeXユーザーの集い2015 63 !  大問ごとに掲載する優 秀者人数が可変。 !  どの大問の掲載者が最 多になるか事前にわか らない。 !  同じ高さの枠で囲みた い。
  • 62. 講評における tcbraster の利用例 TeXユーザーの集い2015 64 !  大問ごとに掲載する優 秀者人数が可変。 !  どの大問の掲載者が最 多になるか事前にわか らない。 !  同じ高さの枠で囲みた い。 tcbraster が便利
  • 63. 英単語集「鉄壁」 のレイアウトも TeXユーザーの集い2015 65 !  左側が英語,右側が日 本語。 !  英語は発音記号も含め て必ず2行。 !  日本語は1行以上の任 意の行数。
  • 64. 英単語集「鉄壁」 のレイアウトも TeXユーザーの集い2015 66 !  左側が英語,右側が日 本語。 !  英語は発音記号も含め て必ず2行。 !  日本語は1行以上の任 意の行数。 見えない形(empty skin) で tcbraster を利用す れば解決。
  • 65. 鉄壁の簡易版レイアウト !  一見しただけでは tcolorbox の存在は全 く分からない。 TeXユーザーの集い2015 67
  • 66. 鉄壁の簡易版レイアウト !  実際には box による高さ調整が為されて いる。 TeXユーザーの集い2015 68 1. [発音記号] 日本語での説明 2. [発音記号] 日本語での説明 1 日本語での説明 2 日本語での説明 3
  • 67. rasterとpdfsavepos の組み合わせ1 TeXユーザーの集い2015 69 !  ページを(2, 2)の領域 に分割する。 !  raster height を版面 下端までの残り高さに 定める。 !  横に並べるボックスの 個数は raster column で指定。 !  縦に並べるボックスの 個数は raster rows で指定。
  • 68. rasterとpdfsavepos の組み合わせ2 TeXユーザーの集い2015 70 !  ページを(m, n)の領域 に分割する。 !  raster height を版面 下端までの残り高さに 定める。 !  横に並べるボックスの 個数は raster column で指定。 !  縦に並べるボックスの 個数は raster rows で指定。
  • 71. 本日紹介した創作 box !  ウェブサイト上で公開予定。 ◦  http://www.geocities.jp/texmedicine/ !  新たな box ができ次第更新。 TeXユーザーの集い2015 73
  • 72. その他 tcolorbox について !  tcolorbox の詳細は公式マニュアル (英文400ページ程度)を参照。 !  利用頻度の高い部分を抜粋してまとめ た日本語版簡易マニュアルを作成中 (近日公開予定)。 !  新たな利用法やデザインに関して,発 見などがあれば随時ブログで公開予定。 ◦  http://texmedicine.hatenadiary.jp TeXユーザーの集い2015 74