Public Governance &
Territorial Development
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TABLE OF CONTENTS
序文.......................................................................................................
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序文
本冊子の位置づけ
本冊子「地域と都市の高齢化」は、2014 年 4 月、OECD 地域開発政策委員会にて議論され
た OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」中間報告からの抜粋である。
本プロジェクトは、人口が高齢...
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高齢社会において経済成長や生産性を確保するため、互いに学びあい、政策の経験を共有す
ることが重要性になってきている。それによって、OECD 諸国やそれ以外の地域でも、長寿命化
やそれがもたらす果実に対応することができる(Garibaldi ...
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1. 世界の高齢化
ここでは、国別の長期的な高齢化の動向を検証する。国別の検証によって、各国における個々の
地域や都市における高齢化の背景について、示唆を得ることができる。
高齢化は世界的な現象であり、今後 50 年にわたって特に進展が見ら...
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高齢者数の増加や、若年人口の停滞又は減少により、高齢者割合は増加を続ける。Figure 2
によると、1950 年から 2010 年に、高齢者割合は OECD 諸国平均で 7.8% (1950 年)から 19.0%
(2010 年)に増加す...
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2.地域の高齢化
ここでは、各国内の地域による高齢化の動向を分析する。高齢化の動向は地域、特に都市と農村
によって、異なることが分かる。
OECD諸国において、高齢者割合や高齢者増加率は地域によって異なる水準にあり、高齢化
の傾向は場所によ...
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高齢者の労働力人口に対する割合(高齢者依存率)は、OECD 諸国内で着実に増加している。
高齢者依存率は経済的に活動している者と退職した者の割合を概ね意味している。2012 年に、
その率は OECD 諸国で 23%であるが、国によってその...
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3.大都市圏の高齢化
大都市圏における高齢化は多様な様相を呈し、持続可能な都市の成長に大きな影響を与えている。
ここでは、人口 50 万人以上の大都市圏における高齢化を分析する。大都市圏の高齢化に関する
データは、2001 年と 2011 ...
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高齢化は都市核と後背地を通じて不均衡に生じている。Figure 7 は、高齢者割合は都市核と
後背地双方で増加しているところ、後背地において高いことを示す。2011 年には 65 歳以上人口
は後背地において 16.1%である。OECD 大...
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高齢者割合には国別に大きな違いがある。Figure 8 は、OECD 大都市圏を国別に分類すると、
ほぼ全ての国において高齢者割合は 2001 年から 2011 年にかけて増加していることを示す。
Figure 8. 大都市圏の高齢者割合...
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2001 年に、OECD27 ヶ国中 5 ヶ国(ドイツ、英国、日本、韓国、メキシコ)において後背
地の高齢者割合が高い(Figure 10)。2011 年には、その傾向を示す国の数は 12 ヶ国に増加する。
Figure 10. 大都市圏...
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Figure 11 は、2001 年から 2011 年にかけての全人口と高齢者の年平均増加率を大都市圏ごと
に示したものである。日本と韓国の大都市圏において全人口増加率は-1% から 1%の幅にあるが、
高齢者増加割は 2%から 4%の幅...
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Figure 12. 主な大都市圏における高齢者数と全人口の増加率:年平均増加率, 2001-2011 年 (%)
出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。
Vienna
Brussels
Prague
Brno
Berli...
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Figure 13. 主な大都市圏における都市核と後背地の高齢者割合; 2011 年 (%)
出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。
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10%
15%
20%
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Firenze
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別添 1 :機能的都市圏における高齢化の分析方法
「高齢社会における持続可能な都市政策(2013/14)」プロジェクトは、大都市圏における人口
構造や空間的な人口動態を分析するために、機能的都市圏(FUA)に基づいて年齢別人口データベ
ー...
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いる自治体はすべて、その都市核の後背地自治体とする。広範な感度分析を行った後、15%を一
定割合とした。多心型大都市圏内の複数の都市核は、単一の目的地に通勤しているとみなす。
この方法を用いれば、同じような規模の機能的都市圏を各国間で比較...
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機能的都市圏における人口データ分析に用いられたデータの出典、年
国 出典 年
Australia (No FUA defined) -
Austria Statistics Austria 2001-11
Belgium Statisti...
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別添 2 :ケーススタディ
OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」は、ケーススタディを通じて都市
における高齢化や政策実例を分析している。ここでは、富山(日本)、マンチェスター(英国)、
リスボン(ポルトガル)及びケ...
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(1)富山(日本)
富山市においては、長寿命化及びベビーブーム世代の高齢化によって、高齢者人口が増加し
ている。高齢者人口は 2010 年には 115,961 人であり、2050 年までに 125,079 人、2045 年までに
129,...
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(2) マンチェスター(英国)
過去 2 世紀に渡り、マンチェスターは産業の成長と衰退の双方を経験し、その間に人口も
1801 年の 88,577 人から、1931 年の 751,292 人、その後は減少し 2001 年には 391,81...
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(3)リスボン(ポルトガル)
リスボン市の人口は急激に減少しており、約 810,000 人 (1981 年)から約 550,000 人 (2011 年)
となった。高齢者割合は 14.6 % (1960 年)から 24 %(2011 年)...
22
(4) ケルン(ドイツ)
2000 年から 2012 年にかけて、ケルンの人口は 57,800 人から 1,026,700 人に増加した。この
増加は 2006 年からの自然増、転入超過によるものである。ケルンの転入超過は、転入人口の約
...
23
参照文献
Garribaldi, Pietro; Joaquim Oliveira Martins and Jan van Ours (2010), Ageing, Health and Productivity.
The Economi...
経済協力開発機構
OECDは,グローバル化の時代にあって各国政府が共に、経済、社会、環境の諸問題に取り組んでいる唯
一の国際機関である。OECDはまた、コーポレート・ガバナンスや情報経済、高齢化等の新しい課題に先
頭になって取り組み、各国政府の...
OECD 公共ガバナンス・地域開発局
地域・都市開発における OECD の作業は、公共ガバナンス・地域開発局(GOV)が担当しており、
主に、地域開発政策課と、持続可能な成長のための地域政策課の二課で分担しています。
OECD 公共ガバナンス・...
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地域と都市における高齢化

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OECDプロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」(2013/14)は、高齢社会における都市の役割を探求します:都市は、高齢社会における課題を、国政府との連携により、どのようにしてレジリアントな都市づくりのための機会とすることができるか。本プロジェクトの中間子報告は、2014年4月、地域開発政策委員会において議論され、最終報告素案は同年11月に提出されます。本プロジェクトの一部として「高齢社会における都市のための円卓会議」が同年10月17日、富山(日本)にて開催されます。

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地域と都市における高齢化

  1. 1. Public Governance & Territorial Development
  2. 2. 1 TABLE OF CONTENTS 序文.................................................................................................................................................................2 1. 世界の高齢化............................................................................................................................................4 2.地域の高齢化.............................................................................................................................................6 3.大都市圏の高齢化.....................................................................................................................................8 別添 1 :機能的都市圏における高齢化の分析方法 ..................................................................................15 別添 2 :ケーススタディ..............................................................................................................................18 (1)富山(日本).......................................................................................................................................19 (2) マンチェスター (英国) ......................................................................................................................20 (3)リスボン(ポルトガル)...................................................................................................................21 (4) ケルン(ドイツ)..............................................................................................................................22 参照文献.......................................................................................................................................................23 Figures Figure 1. 4 人口層の人口変化、世界と OECD: 1950-2100 年 ..........................................................4 Figure 2. 全人口に占める高齢者割合、OECD: 1950-2100 年 ..........................................................5 Figure 3. 高齢者の都市中心地域 (PU), 中間地域 (IN) 及び農村中心地域 (PR)における分布: 2011 年 (%)..............................................................................................................................6 Figure 4. 高齢者依存率、国別、都市中心地域と農村中心地域、2012 年.....................................7 Figure 5. 大都市圏の高齢者割合: 2001 年、2011 年 (%)...................................................................8 Figure 6. 大都市圏の高齢者数、都市核と後背地: 2001 年、2011 年..............................................8 Figure 7. 大都市圏の高齢者割合、都市核と後背地: 2001 年、2011 年..........................................9 Figure 8. 大都市圏の高齢者割合、国別: 2001 年、2011 年 (%).....................................................10 Figure 9. 大都市圏と国平均の高齢者割合: 2011 年(%) ..................................................................10 Figure 10. 大都市圏における都市核と後背地の高齢者割合、国別: 2001 年 、2011 年 (%).......11 Figure 11. 大都市圏における高齢者数と全人口の増加率:年平均増加率, 2001-2011 年 (%) .......12 Figure 12. 主な大都市圏における高齢者数と全人口の増加率:年平均増加率、2001-2011 年 (%) ........................................................................................................................................13 Figure 13. 主な大都市圏における都市核と後背地の高齢者割合; 2011 年 (%).............................14 Figure 14. 富山大都市圏の高齢者割合 ...............................................................................................19 Figure 15. マンチェスター大都市圏の高齢者割合の高齢者割合 ...................................................20 Figure 16. リスボン大都市圏の高齢者割合 .......................................................................................21 Figure 17. ケルン大都市圏の高齢者割合 ...........................................................................................22
  3. 3. 2 序文 本冊子の位置づけ 本冊子「地域と都市の高齢化」は、2014 年 4 月、OECD 地域開発政策委員会にて議論され た OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」中間報告からの抜粋である。 本プロジェクトは、人口が高齢化するなかで、いかに都市が国政府と連携し高齢化の課題に対応 するか、共通認識を確立したいという OECD 加盟国からの強い要請を踏まえて、開始されたも のである。 本冊子の目的は、本プロジェクトによって分析された地域と都市における高齢化に関する暫 定的な検証結果を共有することである。本分析によって、高齢化の動向は、地域や国によって異 なるなかで、いかに空間的に不均一であるか、このため地方政府はいかに異なる政策課題に対す る異なる対応が求められるかが分かる。特に、大都市圏における高齢化については、OECD が定 義した「機能的都市圏」という概念を分析の単位とすることにより、国際的に比較可能な分析と なっている(別添1)。 *本冊子は OECD 加盟国のうち 27 ヶ国にある 258 の大都市圏について分析した。それらは、オース トリア、ベルギー、チリ、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、 英国、ギリシア、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、韓国、メキシコ、オランダ、ノルウェー、 ポーランド、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス及び米国である。分析した大都 市圏にはこれらの国々における高齢者(65 歳以上と定義する)の 42.7%、全人口の 47.2%が居住している。 *分析では、65 歳を高齢者の基準としているが、高齢化が及ぼす影響を理解するためには、他の 年齢に関係する要素、例えば、寿命、実際の退職年齢、年金需給年齢、個人の能力、健康、教育等を も考慮に入れる必要があると認識している。 プロジェクトの背景 高齢化は世界的な現象であり、都市の持続可能な成長に大きな影響をもたらす。人口動態が 様々変化することにより、高齢化は財政、経済、社会面に重要な課題を与えている(OECD, 1996)。 レジリアントな経済や一体性のある社会を追求する持続可能な都市の成長を確保するためには、 高齢化が政策の様々な局面にもたらす課題に対応し、人口構造の変化や高齢化に基づいた新たな 政策展開を図ることが求められる。しかしながら、高齢化による経済及び社会システムの課題は、 場所によって異なっている。都市は高齢化していくなかで、高齢化の課題に対応し、それを既存 の社会の枠組みを変革する機会と捉える必要があり、そのための政策的対応が早急に求められて いる(OECD, 2013a; 2006)。
  4. 4. 3 高齢社会において経済成長や生産性を確保するため、互いに学びあい、政策の経験を共有す ることが重要性になってきている。それによって、OECD 諸国やそれ以外の地域でも、長寿命化 やそれがもたらす果実に対応することができる(Garibaldi et al., 2010)。人口動態の変化に対応し た長期的な政策的対策を打ち立てることの重要性は、多くの政策立案者に理解されている。 都市は持続可能な成長に向けて重要な役割を果たしている。今日、都市は OECD 人口の約 7 割以上、高齢者人口の 8 割以上を擁している。昨今の OECD の研究により、グリーンな都市経 済や持続可能な都市構造にとって、都市の役割が重要であることが証明されている(OECD, 2013b, 2012a)。OECD のこれまでの調査において、都市が国の経済成長に貢献するためには、人 口や産業の集積のみならず、都市の総合的な政策アプローチが必要であることが示されている。 高齢化の課題に対応する政策の立案及び実践においては、高齢化が空間的に不均一に生じている ことにかんがみ、コミュニティの特質、経済的財産、歴史、文化等の地域の実情を深く理解して いることが必要である。都市が地元コミュニティと協働した豊かな経験や、現場の課題への理解 は、不可欠である。 高齢社会における都市の役割の重要性は「第 5 回 OECD 首長と閣僚による円卓会議」 (2013 年 12 月 4-5 日、マルセイユ)においても、「魅力と競争力ある都市は包括的な政策アプ ローチを取るべきであり、交通、住宅、土地利用、雇用及び産業政策等を一体とするべきである」 と確認されている。また、地域開発政策委員会閣僚会議(2013 年 12 月 5-6 日、マルセイユ)に おいても、「よりよい都市政策は、あらゆる世代の住民の生活の質や、自然災害や気候変動への レジリアンスを向上させる」と指摘されたところである。 OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策(2013/14)」は、OECD 加盟国か ら、OECD は都市がどのように高齢化の課題に対応すべきか、共通理解を打ち出すべきであると の要請が高まっていることを踏まえて開始された。本プロジェクトは、地方政府の目線で見た議 論や分析に貢献するものである。本プロジェクトは大都市圏に重点を置くが、大都市のみを検討 対象にしようとしているのではない。都市の規模ではなく、都市が地域や国に及ぼす機能が重要 であると考えている。本プロジェクトは概ね以下の点を分析することとしている。 • 高齢化は人々や都市にどのような意味をもつか。高齢社会は持続可能な都市の成長にど のような影響をもたらすか。高齢社会における都市のビジョンは何か。 • ビジョンを探求すための都市の役割は何か。特に、持続可能な都市の成長を実現するた め、都市は高齢化の課題にいかに対応し、高齢化がもたらした機会をいかに最大限に活 用できるか。国政府は都市の努力をいかにして支えられるか。 • ビジョンを目指し、政策手法を効果的に実践する主体はだれか。 本プロジェクトは OECD 全体の専門知識と経験を広く活用するため、雇用労働社会問題局、 国際交通フォーラム(ITF)及び地域社会雇用開発プログラム(LEED)との協力により行われる。 2014 年 11 月に最終報告、2015 年 4-5 月頃に出版発表を行う。本プロジェクトの一環として、 「高齢社会における都市のラウンドテーブル」を富山(日本)にて 2014 年 10 月 17 日に開催す る。
  5. 5. 4 1. 世界の高齢化 ここでは、国別の長期的な高齢化の動向を検証する。国別の検証によって、各国における個々の 地域や都市における高齢化の背景について、示唆を得ることができる。 高齢化は世界的な現象であり、今後 50 年にわたって特に進展が見られる(Figure1)。21 世紀 後半は人口動態の「新たな均衡」が模索される(UN, 2012)。特に、高齢人口層(60 歳以上)は、 2040 年代後半までは最小人数の層であったところ、21 世紀後半にはこの流れが逆転し、高齢人 口層が若年人口層よりも多くなる。数の逆転は世界規模でその後も進むが、OECD 諸国では、高 齢人口層は 2010 年には既に最若年人口層(0-19 層)を追い抜き、2020 年までには全ての人口層 よりも多くなっている。 Figure 1. 4 人口層の人口変化。世界と OECD: 1950-2100 年 出典: OECD 集計。United Nations Population Division (2010)による, World Population Prospects: The 2010 Revision online, http://esa.un.org/unpd/wpp/unpp/panel_indicators.htm.
  6. 6. 5 高齢者数の増加や、若年人口の停滞又は減少により、高齢者割合は増加を続ける。Figure 2 によると、1950 年から 2010 年に、高齢者割合は OECD 諸国平均で 7.8% (1950 年)から 19.0% (2010 年)に増加する。高齢者割合は 2050 年までに 23.7%、その後 30%を超えて 2100 年までに は 36.1%に達すると予測されている。これらの割合は国によって異なるものの、2010 年時点と比 べ、国による差異は少なくなる。 Figure 2. 全人口に占める高齢者割合、OECD : 1950-2100 年 出典: OECD 集計。United Nations Population Division (2010)による。World Population Prospects: The 2010 Revision online, http://esa.un.org/unpd/wpp/unpp/panel_indicators.htm.
  7. 7. 6 2.地域の高齢化 ここでは、各国内の地域による高齢化の動向を分析する。高齢化の動向は地域、特に都市と農村 によって、異なることが分かる。 OECD諸国において、高齢者割合や高齢者増加率は地域によって異なる水準にあり、高齢化 の傾向は場所によって不均一である。OECD諸国のうち小地域(TL3)別にみると、高齢化は異 なる種類の地域間で異なる傾向があることが分かる。2011 年、44%の高齢者は都市中心地域 (PU)1 に、30%が中間地域(IN)、25%が農村中心地域(PR)に居住している(Figure 3)。 Figure 3. 高齢者の都市中心地域 (PU), 中間地域 (IN) 及び農村中心地域 (PR)における分布: 2011 年 (%) 出典: OECD Regions at a Glance (OECD, 2013) 1. TL3 地域は以下のとおり分類されている: 都市中心地域 (PU)は、農村人口割合が 15%以下である地域、中 間地域 (IN)は、農村人口割合が 15%から 50%である地域; 農村中心地域(PR)は、農村人口割合が 50% 以上 の地域(OECD, 2010). 0% 20% 40% 60% 80% 100% Belgium Netherlands Germany United Kingdom United States Canada Korea Turkey OECD Japan Italy Australia Spain Portugal Ireland Poland Switzerland Finland New Zealand Denmark France Greece Austria Sweden Hungary Slovak Republic Czech Republic Estonia Norway Iceland Luxembourg Slovenia
  8. 8. 7 高齢者の労働力人口に対する割合(高齢者依存率)は、OECD 諸国内で着実に増加している。 高齢者依存率は経済的に活動している者と退職した者の割合を概ね意味している。2012 年に、 その率は OECD 諸国で 23%であるが、国によってその違いは大きい。同じ国のなかでの地域に よる違いも大きい。 Figure 4. 高齢者依存率、国別、都市中心地域と農村中心地域、2012 年 出典: OECD Regions at a Glance, OECD(2013)
  9. 9. 8 3.大都市圏の高齢化 大都市圏における高齢化は多様な様相を呈し、持続可能な都市の成長に大きな影響を与えている。 ここでは、人口 50 万人以上の大都市圏における高齢化を分析する。大都市圏の高齢化に関する データは、2001 年と 2011 年について、「高齢社会における持続可能な都市政策」プロジェクト を通じて、OECD「機能的都市圏」の概念を適用して分析した(別添 1)。OECD 大都市圏は人 口稠密な「都市核」(core)と、それに統合される労働市場を持つ「後背地」(hinterland)に分けら れている。 OECD 大都市圏において、全人口に占める高齢者割合は 2001 年は 12.3%であり、2011 年に は 14.0%に増加した(Figure 5)。OECD 大都市圏における高齢者数は、2001 年から 2011 年までに 22.7%増加した(Figure 6)。後背地の増加率は 26.3%と、都市核の 21.7%に比較して高い。 Figure 5. 大都市圏の高齢者割合: 2001 年、2011 年 (%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 Figure 6. 大都市圏の高齢者数、都市核と後背地: 2001 年、2011 年 出典: OECD 集計。統計の出典は別添 1 参照 12.3% 14.0% 0 20 40 60 80 100 2001 2011
  10. 10. 9 高齢化は都市核と後背地を通じて不均衡に生じている。Figure 7 は、高齢者割合は都市核と 後背地双方で増加しているところ、後背地において高いことを示す。2011 年には 65 歳以上人口 は後背地において 16.1%である。OECD 大都市圏においては、都市核の高齢者割合が 14.7%であ るのに比べ、後背地は 1.4%高い。 Figure 7. 大都市圏の高齢者割合、都市核と後背地: 2001 年、2011 年 (%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 14.85% 13.42% 15.49% 14.71% 13.89% 15.02% 16.1% 14.47% 16.71% 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 All metropolitan areas (258) Large metropolitan areas (80) Small metropolitan areas (178) 2011 (in %) Total Core Hinterland 13.15% 12.01% 13.67% 13.31% 12.62% 13.57% 13.8% 12.29% 14.36% 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 All metropolitan areas (258) Large metropolitan areas (80) Small metropolitan areas (178) 2001 (in %) Total Core Hinterland
  11. 11. 10 高齢者割合には国別に大きな違いがある。Figure 8 は、OECD 大都市圏を国別に分類すると、 ほぼ全ての国において高齢者割合は 2001 年から 2011 年にかけて増加していることを示す。 Figure 8. 大都市圏の高齢者割合、国別: 2001 年、2011 年 (%) Source: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 OECD 大都市圏は各国の平均と比べると、年齢が若い。OECD 諸国の高齢者割合平均は 2011 年に 19.1%であるが、大都市圏の 14.8%と比べると 4.4%低い(Figure 9)。 Figure 9. 大都市圏と国平均の高齢者割合: 2011 年(%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 13.15% 14.85% 0 5 10 15 20 25 2001 2011 19.1% 14.9% 0 5 10 15 20 25 30 National Metropolitan areas
  12. 12. 11 2001 年に、OECD27 ヶ国中 5 ヶ国(ドイツ、英国、日本、韓国、メキシコ)において後背 地の高齢者割合が高い(Figure 10)。2011 年には、その傾向を示す国の数は 12 ヶ国に増加する。 Figure 10. 大都市圏における都市核と後背地の高齢者割合、国別: 2001 年 、2011 年 (%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 13.3% 13.8% 0 5 10 15 20 25 ITA(11) DEU(24) JPN(36) BEL(4) GBR(15) ESP(8) CHE(3) SWE(3) CZE(3) FRA(15) OECD(258) NLD(5) GRC(2) DEN(1) PRT(2) AUT(3) POL(8) HUN(1) NOR(1) SVN(1) EST(1) SVK(1) FIN(1) USA(70) KOR(10) IRL(1) CHL(2) MEX(26) 2001 Core Hinterland 14.7% 16.1% 0 5 10 15 20 25 JPN(36) ITA(11) GBR(15) DEU(24) AUT(3) DEN(1) SWE(3) CHE(3) OECD(258) BEL(4) GRC(2) FRA(15) CZE(3) ESP(8) PRT(2) NLD(5) SVN(1) FIN(1) HUN(1) NOR(1) EST(1) POL(8) KOR(10) USA(70) SVK(1) IRL(1) CHL(2) MEX(26) 2011 Core Hinterland
  13. 13. 12 Figure 11 は、2001 年から 2011 年にかけての全人口と高齢者の年平均増加率を大都市圏ごと に示したものである。日本と韓国の大都市圏において全人口増加率は-1% から 1%の幅にあるが、 高齢者増加割は 2%から 4%の幅にある。ヨーロッパの大都市圏の増加率の幅は広範囲であり、 全人口は-1% から 2% 、高齢者割合は-1% から 4%に及ぶ。チリ、メキシコ及び米国の大都市圏 は全人口は-1% から 4%、高齢者割合は-1%から 6%と、最も大きな幅に及んでいる。Figure 12 と 13 は、特定の大都市圏における全人口と高齢者の年平均増加率を示す。 Figure 11. 大都市圏における高齢者数と全人口の増加率:年平均増加率, 2001-2011 年 (%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 -2 -1 0 1 2 3 4 65+populationannualgrowthrate(%) Total population annual growth rate (%) Europe Japan and Korea USA Chile and Mexico
  14. 14. 13 Figure 12. 主な大都市圏における高齢者数と全人口の増加率:年平均増加率, 2001-2011 年 (%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 Vienna Brussels Prague Brno Berlin Munich Cologne Frankfurt Aachen Tallinn Madrid Helsinki ParisAthens Dublin Rome Genova Venice Amsterdam Oslo Lisbon StockholmWien London Manchester Copenhagen Sendai Toyama Tokyo Osaka Kitakyushu Seoul Daejeon Santiago Monterrey Mexico City Puebla Acapulco Portland Chicago New York Pittsburgh Philadelphia Denver Washington Los Angeles Atlanta Houston Orlando Elderly share 20% 10% -2.00 -1.00 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 65+populationannualchange% Total population annual change, % Europe Japan and Korea USA, Chile and Mexico OECD Average OECD Average
  15. 15. 14 Figure 13. 主な大都市圏における都市核と後背地の高齢者割合; 2011 年 (%) 出典: OECD 集計。 統計の出典は別添 1 参照。 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% Venezia Firenze Toyama Roma Tokyo FrankfurtamMain Manchester Budapest Barcelona Lisboa Köln Athina Marseille Brno Vienna Tallinn Zürich Madrid Praha München OECD(258) Lyon Stockholm Copenhagen Helsinki Bruxelles/Brussel Bristol NewYork Paris SanFrancisco Amsterdam Chicago London Berlin Dublin Madison Santiago SeoulIncheon Daejeon MexicoCity Core Hinterland
  16. 16. 15 別添 1 :機能的都市圏における高齢化の分析方法 「高齢社会における持続可能な都市政策(2013/14)」プロジェクトは、大都市圏における人口 構造や空間的な人口動態を分析するために、機能的都市圏(FUA)に基づいて年齢別人口データベ ースを構築した。機能的都市圏の定義や特定方法については、Redefining “Urban” (OECD, 2012b) を参照ありたい。 機能的都市圏 Redefining “Urban”において、29 OECD 加盟国の機能的都市圏が定義された。34 OECD 加盟国中 5 ヶ国(オーストラリア、アイスランド、イスラエル、ニュージーランド及びトルコ) は、相当するデータが不足していることから、本分析に含まれていない。都市開発には、経済、 生活の質、環境に及ぼす影響が認められているにもかかわらず、いまなお十分なモニタリングが 行われていない。さらに、各国の都市に対して確実な統計に基づく比較も行われていない。この ように知識に格差がある主な原因は、何を測定するのか―、すなわち、「都市」とは何か、また 都市の労働市場の実質的範囲(都市が機能する上での区域)とは何かについて国際的な認識の一 致がないことにある。今回用いた方法では、都市部を、人口の集中した「都市核」と、その都市 核と高度に統合された労働市場を有する「後背地」を特徴とした、機能的な経済上での単位とみ なしている。 ステップ 1. 人口データをグリッドし、中核となる自治体を特定する: 高密度クラスターは、 隣接した高密度の 1km 四方のメッシュの集合から成ると定義する。高密度メッシュは、ヨーロ ッパ、日本、韓国、メキシコにおいては、1km2 当たりの人口が 1,500 人以上の人口密度とする。 大都市圏でコンパクト性が低いオーストラリア、カナダ、米国においては、下限を下げ、1km2 当たり人口を 1,000 人とする。それよりも小規模のクラスター(ヨーロッパ、カナダ、米国では 5 万人未満、日本、韓国、メキシコでは 10 万人未満)は考慮に入れない。都市クラスター内に 住む人口の割合が 50%を上回っている自治体は、人口が集中しているとみなす。 ステップ 2. 同一の機能上の区域に属する非隣接都市核と結ぶ: OECD の都市部のすべて が、既成市街地と隣接性を特徴としているわけではない。多くの都市部は多心型で発展しており、 人口の集中した都市核が物理的に離れて存在しているが、経済的には統合している。この研究の 新しいところとして重要な点は、多心型構造をもつ都市部を特定していることである。通勤デー タから得た情報を用い、都市核間の関係を調査し、ある都市核の住民人口の 15%以上が、別の 都市核に通勤している場合、その二つの都市核は統合されている―、同一の多心型大都市圏の一 部であるとみなすこととした。 ステップ 3. 都市後背地を特定する: 後背地は、人口集中した都市核の外側にある、都市 労働市場の「労働者通勤域」と定義することができる。都市核に比べた後背地の大きさは、都市 が周辺地域に与える影響を明確に指し示すことになる。労働者の一定割合以上を都市核に送って
  17. 17. 16 いる自治体はすべて、その都市核の後背地自治体とする。広範な感度分析を行った後、15%を一 定割合とした。多心型大都市圏内の複数の都市核は、単一の目的地に通勤しているとみなす。 この方法を用いれば、同じような規模の機能的都市圏を各国間で比較することが可能になる。 人口規模に応じて、都市部を以下のように 4 つに分類することが提案されている。 • 小都市圏――人口 20 万人未満(5 万人以上) • 中都市圏――人口 20 万人以上 50 万人未満 • 大都市圏――人口 50 万人以上 150 万人未満 • 巨大都市圏――人口 150 万人以上 出典 : OECD (2012b), Redefining Urban: A New Way to Measure Metropolitan Areas, OECD Publishing, Paris. 機能的都市圏における高齢化の分析 「高齢社会における持続可能な都市政策(2013/14)」プロジェクト中間報告においては、人口 150 万人以上の「大規模都市圏」及び人口 50 万人から 150 万人の「都市圏」について、OECD27 ヶ国における人口データ(5 歳ごと)を収集した。 データの出典は下記の一覧表にあるとおり。年齢別人口データは 2000‐2010 年又は 2001‐2011 年の 2 時点のものであり、例外としてイタリアは 2001 年の代わりに 2002 年、韓国は 2000 年の代わりに 2005 年を用いている。これら 2 時点を選択することにより、センサスのデー タが入手可能な直近 10 年から、人口動態の変化を把握することができる。 人口データが収集される地理的単位は、機能的都市圏を特定する際に用いられたものと同一 である。欧州の国については、ミュニシパリティ(ユーロスタットの LAU2)である。欧州以外の 国については、一般的に当該国での通勤データが入手可能な最小行政単位を用いている。 都市核 後背地 London
  18. 18. 17 機能的都市圏における人口データ分析に用いられたデータの出典、年 国 出典 年 Australia (No FUA defined) - Austria Statistics Austria 2001-11 Belgium Statistics Belgium 2001-11 Canada - - Chile INE Demographic Census 2002, Population projections 2012 2002-2012 Czech Republic Czech Statistical Office 2001-11 Denmark Statistics Denmark - Estonia Statistics Estonia, Population database 2001-11 Finland Statistics Finland 2001-11 France INSEE, Demographic Census 1999-2010 Germany Regionaldatenbank Deutschland 2001-11 Great Britain Office for National Statistics 2001-11 Greece National Statistical Service of Greece 2001-11 Hungary Hungarian Central Statistical Office 2001-11 Iceland (No FUA defined) - Ireland Central Statistics Office of Ireland 2001-11 Israel (No FUA defined) - Italy ISTAT, Demography in Figures 2002-11 Japan Statistical Office, Population and Households data 2000-10 Korea Korea National Statistical Office 2005-10 Luxemburg - - Mexico INEGI, Demographic Census 2000-10 Netherlands Statistics Netherlands 2001-11 New Zealand (No FUA defined) - Norway Statistics Norway 2001-11 Poland Central Statistical Office of Poland 2001-11 Portugal INE, Demographic Census 2001-11 Slovak Republic Statistical Office of the Slovak Republic 2001-11 Slovenia Statistical Office of the Republic of Slovenia 2001-11 Spain INE, Demographic Census 2001-11 Sweden Statistics Sweden 2001-11 Switzerland Swiss Federal Statistics Office 2001-11 Turkey (No FUA defined) - United States U.S. Census Bureau 2000-10
  19. 19. 18 別添 2 :ケーススタディ OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」は、ケーススタディを通じて都市 における高齢化や政策実例を分析している。ここでは、富山(日本)、マンチェスター(英国)、 リスボン(ポルトガル)及びケルン(ドイツ)の 4 都市の例を用いて、高齢化の空間的多様性に ついて説明する。ケーススタディ都市は、地理的に多様性のある高齢化の流れによって、都市の なかでも場所によって異なる課題がもたらされ、都市がこれらの空間的不均一性を政策の根本に おいた対応を求められていることの証拠を示す。 ケーススタディは、行政単位としての地方政府の政策を分析しているが、高齢化は都市の境界を 越えた影響があることから、本プロジェクトでは各都市の高齢化について、周辺の都市圏、つま り機能的都市圏との関連を踏まえながら分析する。 プロジェクトには、今後、横浜(日本)、ヘルシンキ(フィンランド)、ブルノ(チェコ共和 国)、大田(韓国)、カルガリー(カナダ)及びシカゴ(米国)が参加する。
  20. 20. 19 (1)富山(日本) 富山市においては、長寿命化及びベビーブーム世代の高齢化によって、高齢者人口が増加し ている。高齢者人口は 2010 年には 115,961 人であり、2050 年までに 125,079 人、2045 年までに 129,302 人となる見込みである。富山市の人口は 2010 年にピークの 419,263 人となったが、それ 以降減少し続けている。2045 年には 321,641 人となり、2010 年と比較すると 23%減である。富 山は転入超過であるも、高い死亡率や低い出生率が人口減をもたらすと見られる。結果として、 高齢者割合は 24.0% (2011 年)から 32% (2025 年)、40% (2040 年)となる。 高齢化は空間的に不均一である。市内 7 地域のうち、高齢者割合は 21.1%(婦中地域)から 38.8%(細入地域)に分布している。富山市人口の 76.6%が集積する富山地域は、市の中心部と いう位置づけから、人口が増加している。高齢者割合は 18.8%(2000 年)から 26.6%(2013 年)に増 加し、高齢者数は 68.3%増加した。富山市は自然増によるものと認識しているが、市のコンパク トシティ政策によって市の中心地域での高齢者増につながっているとも考えられる。 富山市は、高齢化と人口減少は、市の持続可能な成長にとって根本的な課題を呈し、コンパ クトシティ政策はこれに対応するために効果的に実施されていると考えている。富山市は課題を 3 つに分析している。第一は、市は所得税を中心とする税収減と、医療介護費の増加が、都市の 「レジリアント」な成長に負の影響を与えていること。第二は、市は市民の移動手段の喪失を懸 念していることである。市は高齢化により 2030 年には自動車を運転できない人口が 1.2 倍にな ると見積もっている。第三に、富山市は「ドーナッツ現象」により、住宅地や公共施設が郊外に 広がっていることである。これによって、中心市街地の経済活性化が減退し、経済活動の中心が 都心から外延地域に移行することになる。 Figure 14. 富山大都市圏の高齢者割合 出典:富山市集計資料に基づき OECD 集計
  21. 21. 20 (2) マンチェスター(英国) 過去 2 世紀に渡り、マンチェスターは産業の成長と衰退の双方を経験し、その間に人口も 1801 年の 88,577 人から、1931 年の 751,292 人、その後は減少し 2001 年には 391,819 人となった。 2001-2011 年の間、マンチェスター市は高等教育を受ける学生や若年労働力の転入により、年平 均 2.5%の人口増の局面を迎え、2011 年には 503,000 人となった。他方、市内の高齢者数は 2011 年には 47,544 人であったが、自然減や転出により、年平均 0.9%減少している。65 歳以上人口割 合は 9.5%であるが、これは大マンチェスター地域の中では最も低く、国平均 2012 年の 20.3%と 比べてもかなり低い。市内の高齢者数は 2020 年までには全人口増加率よりも倍の速度で増加す る見込みであるが、その速度は年平均 1.2%と緩やかであり、高齢者割合も 9.5% から 10%に増加 するにとどまる。 高齢者人口は市内の 32 区のなかで不均一に広がっている。長くから続く高齢者コミュニテ ィは、市の北東部の境界にあるモストン区(高齢者割合は 2011 年に 15.7%)や、南西のブルッ クランズ区(14.3%)にある。ヒュルム区や中心市街地などの中心部では、高齢者割合は最も低い。 これらの地区は人種的多様性が高く、大学生が多く、さらに民間賃貸住宅が多く存在しているの が特徴である。マンチェスター市の高齢者は大マンチェスターのなかの周辺自治体、特にストッ クポート、トラフォード及びテイムサイド等に移住する傾向にある。 市は高齢化を社会的一体性にとって特に課題であると位置づけている。余裕のある高齢者が 郊外に流出することにより、マンチェスターの高齢者人口は少なく、若く成長著しい市のなかで 高齢者は少数派になっている。市は、少数かつ拡散している高齢者のいる地域は「弱点の多い地 域」と見なしており、コミュニティの能力や社会資産も低い地域と位置付けている。このため、 Valuing Older People プログラムが 2003 年から導入され、高齢者の生活の質を向上させることを 目指している。健康対策や社会サービスのための支出が増加していることも、特に景気後退や予 算縮減の中では課題となっている。 Figure 15. マンチェスター大都市圏の高齢者割合 出典: マンチェスター市提供資料に基づき OECD 集計
  22. 22. 21 (3)リスボン(ポルトガル) リスボン市の人口は急激に減少しており、約 810,000 人 (1981 年)から約 550,000 人 (2011 年) となった。高齢者割合は 14.6 % (1960 年)から 24 %(2011 年)に達し、国平均の 19%よりも 5% 高い。現在の人口見通しによると、この今後 15 年にわたり年 1.6%の人口減少が続く傾向にあり、 高齢者割合は更に 4.5%増加する。 リスボン市において、高齢者は市内 24 地区に不均一に拡散している。大多数の地区におい て平均年齢は増加しているものの、主に歴史的地区にある 11 地区では逆の傾向をたどる。ここ では、高齢者割合は 2001 年から 2011 年にかけて減少し、約 20%となっている。これは若年層の 転入超、高齢者の減少とそれに伴う人口減少によるものであるのか、精査する必要がある。 リスボンにとっても最大の課題は、若年世帯を引きつけ、高齢者割合の増加に対抗するとと もに、人口水準を持続可能なものに保つことである。このためには、経済成長を生み出し、都市 の経済をけん引するような雇用の機会を創出し、同時に高齢者を労働に参加させ、高齢者の技能 や知識を活用することが必要である。 Figure 16. リスボン大都市圏の高齢者割合 出典:リスボン市提供資料に基づき OECD 集計
  23. 23. 22 (4) ケルン(ドイツ) 2000 年から 2012 年にかけて、ケルンの人口は 57,800 人から 1,026,700 人に増加した。この 増加は 2006 年からの自然増、転入超過によるものである。ケルンの転入超過は、転入人口の約 半数を 18‐30 歳の世代が占め、若い世代の転入が多いことに特徴づけられる。現時点の人口予 測では、ケルン市は 2020 年まで人口が増加して 1.06 百万人になり、その後は 2040 年までに 15,000 人が減少して 1.05 百万人になる見込みである。2020 年以降の人口減少は、転入率が減退 することと、ドイツ全体で 18-30 歳人口が減少することによる。 高齢者割合は 2011 年には 19.6%となった。市の人口予測によると、高齢者数は 2040 年まで に約 2 万人増加し、高齢者割合は約 21%となる。2040 年までに、ケルンは 80 歳以上人口が全人 口の 7%となる。しかしながら、2040 年には平均人口は国全体の 49.3 歳と比較し、約 6 歳若い 43.9 歳となる。高齢者割合は、南西のコールヴァイラーや北西のポルツ等の周辺地区で高い。そ れに対し、中心部やその東西にある近辺区は、若年人口割合が高い。 高齢者人口が、特に超高齢者層で高いことにより、新しい形式及び公的に支出された住宅の 需要が高まることが予測される。現在の住宅ストックや今後建設される住宅は、バリアフリー基 準を満たす必要がある。適切、アフォーダブルかつアクセシブルな住宅であるためには、公共交 通に設計面でも距離的にもアクセス可能であることが求められる。住み慣れた場所で年をとりた いというケルンの高齢者の要求を考慮すると、社会サービスをカスタマイズし、柔軟に、住宅を ベースに提供することが課題となる。現在も将来的にみても、高技能な労働者が不足すること、 労働者の高齢化、多くの高齢者が労働機会を求めていることなどが、長期的な懸念材料である。 Figure 17. ケルン大都市圏の高齢者割合 出典: ケルン市提供資料に基づき OECD 集計
  24. 24. 23 参照文献 Garribaldi, Pietro; Joaquim Oliveira Martins and Jan van Ours (2010), Ageing, Health and Productivity. The Economics of Increased Life Expectancy, Oxford. OECD (1996), Ageing in OECD countries. A Critical Policy Challenge, Paris. OECD (2006), Live Longer, Work Longer. Ageing and Employment Policies, Paris OECD (2010), OECD Regional Typology, http://www.oecd.org/gov/regional-policy/42392595.pdf. OECD (2012a), Compact City Policies: A Comparative Assessment, Paris. OECD (2012b), Redefining “Urban”: A New Way to Measure Metropolitan Areas Paris OECD, (2013a), Pensions at a Glance, Paris. OECD (2013b), Green Growth in Cities, Paris. UN (2012), Population Ageing and Development, New York.
  25. 25. 経済協力開発機構 OECDは,グローバル化の時代にあって各国政府が共に、経済、社会、環境の諸問題に取り組んでいる唯 一の国際機関である。OECDはまた、コーポレート・ガバナンスや情報経済、高齢化等の新しい課題に先 頭になって取り組み、各国政府のこれらの新たな状況への対応を支援している。OECDは、各国政府がこ れまでの政策を相互に比較し、共通の課題に対する解決策を模索し、優れた実績を明らかにし、国内及び 国際政策の調和を実現する場を提供している。 OECD加盟国:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チリ、チェコ、デンマーク、エスト ニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラ エル、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、 ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、 米国。欧州委員会もOECD活動に参加している。 OECDが収集した統計や、経済、社会、環境の諸問題に関する研究成果は、加盟各国の合意に基づく協定、 指針、標準と同様に OECD 出版物として広く公開されている。
  26. 26. OECD 公共ガバナンス・地域開発局 地域・都市開発における OECD の作業は、公共ガバナンス・地域開発局(GOV)が担当しており、 主に、地域開発政策課と、持続可能な成長のための地域政策課の二課で分担しています。 OECD 公共ガバナンス・地域開発局は、過去に例のない経済、社会、及び財政圧力の中で、公共 政策の企画立案能力を高めることを目指す政府や他の関係者に対し、政策手段、データ、専門知 識および成功事例の情報を国際的に先導して提供することを目指しています。 OECD 地域開発政策委員会 34 ヶ国の OECD 加盟国と、非加盟国、他の機関やネットワークから成る OECD 地域開発政策委員 会は、地域政策分野における議論や情報交換のための先導的な国際フォーラムです。地域の競争力や 効果的かつ創造性に富んだガバナンスを促進するための地域開発政策に関し、OECD の調査研究を主 導します。委員会に位置づけられる都市作業部会は世界の都市政策に関する情報共有のための重要な プラットフォームです。 www.oecd.org/gov/theterritorialdevelopmentpolicycommittee.htm OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」 OECD プロジェクト「高齢社会における持続可能な都市政策」(2013/14)は、高齢社会における都市 の役割を探求します:都市は、高齢社会における課題を、国政府との連携により、どのようにしてレ ジリアントな都市づくりのための機会とすることができるか。本プロジェクトの中間子報告は、2014 年 4 月、地域開発政策委員会において議論され、最終報告素案は同年 11 月に提出されます。本プロ ジェクトの一部として「高齢社会における都市のための円卓会議」が同年 10 月 17 日、富山(日本) にて開催されます。 連絡先 佐谷説子 持続可能な成長のための地域政策課長 setsuko.saya@oecd.org www.oecd.org/gov/regional-policy/sustainable-urban-development-policies-in-ageing-societies.htm www.oecd.org/gov Public Governance and Territorial Development

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