Dugong Lawsuit: Okinawa Dugong as "Creature and Culture"
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Dugong Lawsuit: Okinawa Dugong as "Creature and Culture"
- 1. 生物多様性ノレッジカフェ＠沖縄 3rdBiodiversity Knowledge Café 世界は辺野古をみている！ Henoko in the Eyes of Environmental Justice ： Perspectives from the World 2013.2.16@ ウミエラ館 「沖縄のジュゴンが米国の法廷に登場できるわ け: ジュゴン訴訟って何？」 Dugong Lawsuit: Okinawa Dugong as “Creature and Culture” Culttu Cul urre? e? 河村 雅美（沖縄・生物多様性市民ネットワーク、 Okinawa Outreach ） Dr. Masami Kawamura (Citizens’ Network for Biodiversity in Okinawa, Okinawa Outreach)
- 2. 今日の話 Today’s topic - ジュゴン訴訟とは何か？ - ジュゴン訴訟で使われている法律国家歴史保存法 （ NHPA ） - なぜ沖縄のジュゴンが米国の法廷に？ 2 つの“初めて” ｰ判決とその持つ意味～ジュゴンの文化的価値とは？ - アクションにつなげる - ジュゴン訴訟から学べること
- 3. ジュゴン訴訟とは何か？ ジュゴン訴訟とは何か？ Asia Times
- 4. ジュゴン訴訟とは (1) 2003 年 9 月、沖縄県辺野古沖に「普天間飛行場代替施設」 として計画されている米軍基地の建設を阻止することを目的 とし、米国で起こされた裁判。 原告： 沖縄住民 3 名、 日米の環境 NGO （ジュゴン保護基金、 Center for Biological Diversity, Turtle Island Restoration Network ） 日本環境法律家連盟（ JELF ） 被告： 当時の国防長官ラムズフェルド 代理人： 米国の環境訴訟を専門とする Earthjustice
- 5. ジュゴン訴訟とは (2) ・原告： 「普天間飛行場代替施設」 は、米国連邦 政府の事業でありジュゴンへの影響を考慮せずに行わ れていることが、米国国家歴史保存法 (National Historical Preservation Act, NHPA) に違反していると主張。 ・ 2008 年 1 月 原告勝訴 ©Takuma Higashionna
- 6. ジュゴン訴訟の判決 ① 米国が基地建設の事業者であることが裁定 → 「日本政府の事業だから関係ない」といえなくなった。 ② 国防総省（ DOD) は国家歴史保存法（ NHPA ）を遵守しな かったので、 これから同法を遵守せよ。 ③ 遵守の方法を裁判所に示せとの命令 ( 異例の命令） →遵守の方法について国防総省が書面で提出 →原告側反論 和解できず、 2009.1 から裁判が動いていない状況
- 7. 国家歴史保存法（ NHPA ）とは（ 1 ） National Historical Preservation Act ・手続き法 ・米国内の歴史的文化財の保護を目的として 1966 年に制定 Citizen's Guide to Section 106 Review （ http://www.achp.gov/citizensguide.pdf ）
- 8. 国家歴史保存法とは（ 2 ） アメリカ先住民の伝統文化をも保護する法律へと変容 http://www.achp.gov/Case%20Digest%20Fall%2008.pdf Citizen's Guide to Section 106 Review （ http://www.achp.gov/citizensguide.pdf ） Consultation with Native Americans
- 9. 国家歴史保存法とは (3) • 歴史的文化財に米国連邦機関の事業が及ぼす影響を考慮する ことを 106 条で事業者に要求 • 連邦機関の事業が実施されるに先立ち、連邦機関は事業に対 して市民が意見を述べる機会を提供しなければならないとい う義務を課している。 • 悪影響がある場合「回避」「緩和」方策を提示しなければな らない。 ( 移動、記録化など）
- 10. NHPA の性格（限界？） • 手続き法 事業をとめる法律ではない 事業者は手続きを遵守すればよい （悪影響＝事業中止ではない） ※差し止め（ injunction) の手続き （具体性、緊急 性要） ・ 悪影響がある場合の「回避」「緩和」方策について法的な 拘束力のある「合意書（ Memorandum of Agreement ）」を事業 者と当該関係者が定め、手続きは終了
- 12. なぜ日本で？ ～１つめの“初” 域外適用条項（国内法 106 条を国外に適用する 402 条） の存在 世界遺産条約の執行のために制定 最近話題の…
- 13. なぜ動物のジュゴンが？ ～ 2 つめの“初” 米国 US 日本 Japan 国家登録簿 文化財保護目録 （ US National 裁判所 ジュゴン Register of Historic 同等と判 天然記念物 Places) 断
- 14. ジュゴン訴訟において NHPA を遵守すると は？ DoD が、「普天間代替施設建設事業」がジュゴンに与える影響 を 考慮する (take into account) 義務を果たしていくこと ① ジュゴンの文化的価値への影響の調査・評価 影響があるか / ないか を決める ② 文化財＝ジュゴンへの悪影響の「回避」「緩和」方策の提示
- 15. 市民が意見を述べる機会については？ →米国内では公聴会や「協議」 consultation を実施 ・ 連邦機関は審査期間、しかるべき団体や個人と積極的に協 議しなければならない。 “…the NHPA requires an agency to ‘stop, look and listen’” 市民の声を反映できるプロセス democratic and interactive process, “consultation”, which help citizens make their voices heard. • 連邦機関が協議しなければならない団体や個人 ＝「協議の当事者（ consulting parties ）」
- 16. 協議の当事者とは？ 米国国内法では･･･ • 歴史保全官協議会 • インディアン部族 • ネイティブハワイアン団体 • 地方政府 • 連邦機関が援助、許可、認可するもの、およびその他の申請 者 ◎ 当該事業に関心を示すことの出来る他の個人や団体
- 17. 協議の当事者になるために • 「協議の当事者」となるには、連邦機関の承認が必要 • 連邦機関の承認のために、当事者の資格を要求する手紙を書 かなければならない ただし - 事業への関心を示せばよい - 難しい言葉を使う必要はない
- 18. 協議の当事者の手紙の一例
- 19. 協議の様子 Consulting Consultation with Native Americans
- 20. 裁判所が判決時に命令したこと ＝遵守の方法を裁判所に示す こと （ 1) 普天間代替施設がジュゴンに及ぼす影響を評価するために 、いかなる追加的な情報が必要かを示し、 （ 2) 適当な個人・団体・政府機関を含め、いかなる情報源から 当該情報が入手できるかを明らかにし、 （ 3) 日本政府による環境評価の性質及び射程に関し、現時点に おいて知り又は予想されること、並びに、日本政府による当 該評価が国家歴史保存法に基づき被告らに課せられた義務の 履行として十分なものかどうかを明らかにし、 （ 4) 環境緩和（ mitigation ）のための情報を審査し考慮する権限 (authorization) と責任（ responsibility) をもった国防総省担当官を特 定し、… .
- 21. 遵守の方法で原告と被告のギャップ • 国防総省側 （ 2008.4.23) “ジュゴンの「文化的重要性」に関わる情報、あるいはそ の他の事柄に関する情報は、適切な外交ルートを通し収集さ れなければならない、そしてそれを米国あるいはその他外国 の日本文化やジュゴンの専門家」で補っていく” • 原告側（ 2008.6.6) 市民参加の機会を主張
- 22. 「ジュゴン訴訟」のジュゴンの位置づけ ＝文化的価値 “ Creature and Culture “ ジュゴン ・・・文化的歴史的な価値を持つものとして の 位置づけ （ cf. 絶滅危惧種、レッドデータ リスト） Du go n g 原告側 「ザ でも dugo ン 」 あり n ・ジュゴンの文化的重要性 でも …… ある私 ・悪影響の「緩和」「回避」の 不可能性
- 23. ジュゴンの文化的重要性を示すために （ 1) - ジュゴンの文 化的価値とは何か？ - ・地方史におけるジュゴン ( 『辺野古誌』） ・ ジュゴンの民話・神話 （創世神話 / 津波伝説 / 神の使者 ) ・食用・薬用としてのジュゴン 『校本 おもろさうし』 中原善忠・外 間守善 ・考古学におけるジュゴン ・ジュゴンと歌謡 ©JELF
- 24. ジュゴンの文化的重要性を示すために（ 2) - ジュゴンの文化的価値 とは何か？ - 現在のジュゴン文化 ジュゴンにまつわる儀礼 一部でのみ © 浦島悦子 http://kichi- iranai.jp/d_10kumovement/e_kurasu/20070813/20070813.html
- 25. ジュゴンの文化的重要性を示すために（ 3) - ジュゴンの文化的価値とは何か？ 新たなジュゴン文化 絵本 歌
- 26. 日本の環境アセスとの関係 ジュゴンの文化的重要性への影響調査 →日本のアセスにない部分 DOD - 独自の調査 / 審査をする - 悪影響があるか / ないかの決定 －日本政府と協議していく ↓ 悪影響を「回避」「緩和」する方策の提示で日本のアセス 流用の可能性？ →補正評価書の英訳、 MMC の見解につなが る
- 27. 判決文における日本の環境アセス - 「日本が、日本の法律下で要求されている環境アセスメントを 行ったか否かについては、原告は議論しておらず、裁判所も 争点としていない。実際に、裁判所がすでに、国家行為の原 則と関連して説明したとおり、裁判所が審理するのは、日本 の法律を日本が遵守してきたかということではなく、 DOD が NHPA 下の義務を遵守してきたか否かである。」 p.37. - 「･･･悪影響があると決定された場合は、日本政府でなく、回 避する方策を評価する義務は DOD にあるが、その評価は日 本自身の取り組みと並行ならびに、共同で行われることも可 能である。」 pp.43-43.
- 28. 文化を示す・・・難しい問い しかし面白い問い Dr. Thomas F. King （ NHPA 専門家） p ee .... k . I'll king “Let m e thin n ka thi bit m bout this a ore”
- 29. ジュゴン訴訟から考えられるアクション 手続き法であるので事業は止められないが… . ｰ国際的なことが地域につながることでの県内世論を - 話題性、訴訟の持つ面白さを生かした国内、国際世論を （科学者、 NHPA 専門家、環境法、先住民族文化い ろいろなアリーナ） 過程における日本政府批判、アセス批判 - 運動としては、 Ally （同盟）をつくること（ by Thomas King) “ 味方”との連帯、情報発信を - 沖縄がイニシアチブをとり、発信者となる
- 31. ! you Th ank ©Mira
Editor's Notes
- ではジュゴン訴訟の説明をしていきます。
- ジュゴン訴訟は、 2003 年沖縄県辺野古沖への「普天間飛行場代替施設」建設を阻止することを目的として米国で起こされた裁判です。 原告は沖縄住民 3 名、日米の環境 NGO, 日本環境法律家連盟、被告は実質的に国防総省、原告代理人弁護団はアメリカの環境訴訟を専門とする弁護士事務所 Earthjustice ということから、環境訴訟として認識されていました。
- この訴訟では、原告が「普天間飛行場代替施設」は米国の事業であり、 この施設建設が、ジュゴンへの影響を考慮せずに行われていることが、アメリカの法律の「国家歴史保存法」に違反していることを主張し、 2008 年原告が勝訴しました。
- ではこの判決はどのような内容であったのか、について説明します。 判決の最後の部分を、資料 2 として参考に出しておきましたのでご覧下さい。 1 点目としてはこの普天間飛行場代替施設事業で米国国防総省が事業者であるということです。 2 点目は原告の主張どおり国防総省が国家歴史保存法を遵守しなかったので、これから守れ、という命令です。 そして、これは異例のことらしいのですが、どのようにこの法律を守るかを裁判所に示せという命令が同時にでました。国防総省はその書類を出しましたが原告側はそれでは不十分であるということで現在審議が続いています。
- では、 NHPA とはどのような法律なのか、説明します。 従来はアメリカの歴史的文化財の保護を目的として 1966 年に制定された法律です。 左 ワシントン DC の映画館 右上 サンフランシスコの造幣局 下 潜水艦
- それがアメリカ先住民の伝統文化をも保護する法律へと変容していき、 左側にあるようなネイティブインディアンの聖地も対象となっていました。 （左下ネイティブアメリカン用の法律のマニュアル） 右はハワイマクアの聖地で軍事練習場として使用されているところに、この法律の手続きが行われているところです。
- 事業 道路建設、携帯電話のセルラータワー 事業者は保存に責任を持つ 悪影響 integrity を損なわせる 歴史財産の重要さを伝えるための力を損なわせる 物理的な破壊、損害、 性格を変化させる 視覚的、雰囲気的、聴覚的にあわない要素をとりいれる
- このジュゴン訴訟では、この NHPA の施行で２つの初めての例となりました。 1 点目は、国外でこの法が適用されたのは初めてのことということです。 これは、この法律自体に、この国内法 106 条を国外で適用する 402 条という法律が存在していたことによります。
- 2 つ目の初めての例というのは、この法律で「生物」が対象になったのは初めてのことです。 これは、アメリカで NHPA が施行される場合には、対象物は国家登録簿というものが基準になりますが、日本の文化財保護目録がそれと同等であると米国の裁判所が判断したため、ジュゴンは NHPA における歴史的文化財となり、 NHPA で守られる対象物となったわけです。
- ではジュゴン訴訟で、これから何が行われていくか、ということを予測してみますが、国防総省は「普天間代替施設建設事業」がジュゴンに与える影響を 考慮しなければならないわけです。 これは具体的に次の 3 点となります。 まず、この事業が、ジュゴンの文化的価値へ影響を及ぼすかの調査と評価です。 ２点目は、この事業に対する意見を述べる機会を市民に提供すること、つまり国防総省はこの調査と評価を独自に決められません。その手段として「公聴会」それから後で説明する「協議」という手続きが必要になります。 3 点目として、悪影響があると評価された場合、それを「回避」あるいは「緩和」する方策を提示しなければなりません。
- ではこの手続きのうち、この発表のテーマである「誰がジュゴンを語るのか」の問いが浮かび上がる「協議」について説明します。 NHPA は、連邦機関は審査期間、しかるべき団体や個人と積極的に協議しなければならない、と定めており、その相手を「協議の当事者」と呼んでいます。
- これは協議の様子ですが、このように、現場で市民や専門家と事業者が直接事業に対して意見をいうことが協議のシステムによってできるわけです。 左上 インディアン部族と一般市民の地区のツアー 左下 ケンタッキー 道路拡張 景観 保存専門家加えて 右上 ケンタッキーとインディアナ間のハイウェイ計画 地元グループと州・市当局
- また、「文化を守る」とは何なのか？という問題にも直面することになります。 事業の、ジュゴンの文化的価値への影響とは何なのか？手続きのガイドでは法律では、↓のようなことが示されていますがこの場合はどうなのか。 事業によって、ジュゴンが減り、ジュゴンにまつわる行事が行われなくなることなのか、何なのか。 また、文化的価値への影響を「回避」する「緩和する」とはどのようなことなのか、ジュゴンを辺野古沖から移動させるのか、水族館にいれればいいのか、生存を記録すればいいのか、剥製を博物館にいれればいいのか、テーマパークでもつくるのか、という問いも派生してくるわけです。 ----------------------------------------------- integrity を損なわせる 歴史財産の重要さを伝えるための力を損なわせる 物理的な破壊、損害、 性格を変化させる 視覚的、雰囲気的、聴覚的にあわない要素をとりいれる
- 国防総省については強く非難 しかし、日本のアセスについては判断を下す立場にない。 並行、共同で行われることも可能といっている。
- 私はこの裁判の初期の段階で、供述書を書いた NHPA の専門家とコンタクトをとり、私たちは何を国防総省に示すべきなのか、の問いを聞く機会があったのですが、彼にもこれは難しい問いでした。 実際にアメリカでもネイティブアメリカンの人々の似たケースはあるとのことでした。長いこと彼らの文化が押さえ込まれていたために、今いきなり彼らの伝統を示せといわれても困惑するというケースにはでくわしてきたが、もう少し考えてみる、という返事のままでした。 But yet there have been people ready to occupy the site with their bodies to preclude the military work there. I'm really not sure how to advise you on this, because it's so much a matter of local perceptions. We often run into a similar phenomenon among Indian tribes, though, where they've been so discouraged, for so long, from even practicing their cultural traditions that it seems confusing to them when suddenly they're challenged to mobilize those traditions in a political/legal context. Let me think about this a bit more and Get back to you. Mon, 1 Sep 2008